青函旅行記

十和田観光電鉄(一)

竜飛海底12:25→青森13:27 快速海峡4号
青森13:31→野辺地13:59  特急はつかり18号
野辺地14:02→三沢14:30  普通

ここで今回使用した切符について解説しておく。まず,北海道内では北海道フリーきっぷを使用している。これはJR北海道内の特急列車指定席が7日間乗り放題というものである(もちろん自由席や普通列車にも乗れる)。青森県内については従前であれば普通列車1日乗り放題の「あおもりホリデーパス」を使えばよかったのが,これがなくなってしまったので,まともに乗車券を買っている。
乗車券についてはJR北海道とJR東日本の境界駅である中小国まで北海道フリーきっぷの効力がある。一方,料金券部分についてはJR北海道内で最後に停車する駅まで有効だから,同じ席番を函館の前後で2枚に分けて出してもらっている。さらに青森−野辺地の特急券を買うことにより函館−青森間に乗継割引が適用され,急行料金・指定席料金が半額になっている。

快速海峡は5分くらい遅れていた。津軽線は単線のため,常態的に遅れが発生する。特急はつかりは海峡の接続をとって発車するので心配することはないが,そもそも乗り継ぎ時間が4分というのも無理がある。青森駅には連絡通路が2ヶ所あるが,この間隔が200mだとして,ホームからホームへ移動するのに最大300m程度歩かなくてはならない。これでは駅弁を買う時間もないので,もう少し余裕を持ったダイヤ設定をしてもらえないだろうか。

今回の旅行が飢餓旅行になることは当初から予想されたが,本当にそうなってしまった。結局,蟹田のヤマザキストアで弁当を買ってから何も食べていない。あとは昨日札幌で買ったチョコクロワッサンで食いつなぐしかない。(結局このあと19時半頃まで食料が調達できなかった)

十和田観光電鉄三沢駅

JRの駅から出て左手に少し歩いたところに十鉄の駅がある。三沢も何度か列車で通ったことがあったが,この駅の存在には気づかなかった。

十和田観光電鉄というのは非常に地味な私鉄で,鉄道関係の本にも登場することがほとんどなかった。もしかしたら電鉄とは名ばかりで,とうにバス転換されているのではないかとさえ思っていた。それが今年になって貴重な旧型電車が運用を離脱することや開業80周年記念のイベントでにわかに鉄道雑誌の紙面を賑わすようになり,あらためてその存在を確認したのである。

とりあえず終点の十和田市まで乗りとおしてみることにする。

「北海道駅前案内所」風に車窓案内をしておこう。

頭端式ホームの三沢駅を発車すると,まもなく古牧温泉の敷地に入る。左手には立派なホテルが連なり,右手には大駐車場,大正池が見えてくる。線路はJR線ではありえないほどの急カープと急勾配で丘を上っていく。恐らくカープは半径100m台,勾配は25‰を超えているだろう。みちのく有料道路が頭上を横切ると台地上の農村地帯に出て,大曲,柳沢と小さな駅を通過。踏切の警報機は電子音ではなく機械的に鐘を叩いて音を出す方式だ。水田も見られるが長いもや野菜も多く作られている。あまり農地としてはあまり裕福そうに見えないが,たぶんこのあたりの農家は兼業農家なのだろう。専業農家が多い北海道の農村とは根本的に景色が異なる。
次の七百には交換設備があって,古そうな車両が留置されている。立派な構えの三本木農業高校を見つつ三農高前駅を通過すると十和田市に入り,北里大学前駅のあたりから市街地の様相を呈してくる。左手には用水路が続き工業高校前,ひがし野団地とこまめに停車して十和田市駅に通着する。

14.7km,27分間の小旅行だった。

十和田市駅

鉄道の日記念の飾り 近代的な十和田市駅。ダイエーと一体化している。 十和田市駅外観。

駅から300mほど歩くと車両基地があった。

モハ3603(昭和17年製)。十鉄80周年を記念して,今年8月に東急時代の緑色に塗り替えられた。 モハ4406(昭和37年製)。 昭和60年まで使用されていた旧駅舎。

本当はこれらの旧型車両に乗るためにここまでやってきたのである。今日は鉄道の日でもあり,復活運転してくれるのではないかというかすかな期待を抱いていたのだが,10月10日をもって全列車新型車両に置き換わったとのこと。本当にタッチの差であった。

十和田市

十和田市は人口約63000。けっこうな規模の町である。東北本線から離れた変なところに市があるものだと思っていたが,改めて地図を見てみると,国道4号は十和田市を通っている。むしろ三沢市のほうが街道から外れた辺鄙な所にある。三沢市の人口は約42000人。十和田観光電鉄は2つの市を結ぶ重要な生活路線である。鉄道的には東北本線に接続する三沢行きが「上り」になるのだろうが,実際のところどうなんだろうか。十和田市のほうが中央に近いという印象も受けた。

国道4号・陸羽街道 日本の道100選・官庁街通り。桜の時期は素晴らしいという。

十和田市は1859年に新渡戸氏によって拓かれた新しい都市で,整然とした碁盤目状の道路が特徴である。

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