青函旅行記

十和田観光電鉄(二)

これから十和田観光電鉄全駅乗降に挑戦しようと思う。全駅乗降はやり始めると癖になってしまうもので,私は完ぺき主義ではないはずだが,いったん乗り降りを始めるとすべての駅に乗り降りしなければ気がすまなくなる。実際,単に線路を乗りとおすのと比べたら,駅に降りることによって見えてくるものは100倍くらいある。

本数の少ないローカル線でどうやって駅に乗り降りしているのかと不思議に思われることがよくある。よい機会なので,ここで全駅乗降の方法について説明したい。下に十和田観光電鉄のダイヤと,実際に移動した行程を示す。
見てのとおり,駅に降りたら,同じ方向に進む次の列車を待つのではなく,逆方向に戻っている。さらに,待ち時間に隣の駅まで徒歩で移動している。「乗降」というのは列車から「下車」するだけでなく「乗車」してもよいわけだから,一つの駅では「乗車」「下車」のどちらかを行えばよい。この行程では大曲駅で1時間近い待ち時間が発生しているが,これはこれで何もせずにボーっと列車を待つのも,あとから思い出に残るものである。

それでは「北海道駅前観光案内所」風に各駅を案内していこう。駅の順番は実際に訪れた順番とする。

ひがし野団地 昭和7年10月18日開業 十和田市より1.0キロ
88駅より1.2キロ
126人 無人駅
もとは渋沢農場前といった。昭和47年改称。 三沢方面を望む 稲生(いなおい)川

線路に沿って流れている稲生(いなおい)川は,新渡戸一族の尽力により1859年に竣工した人工河川である。不毛の地だった三本木原台地を潤し,稲作を可能にした。

高清水 大正11年9月5日開業 北里大学前より2.1キロ
十和田市より4.1キロ
51人 無人駅
駅周辺は小集落を形成しており,駅前にオレンジハートというコンビニがある。 三沢方面を望む 味のある待合室


「新型車両デビュー」のステッカーと「鉄道の日」のヘッドマークを掲出。しかしこの新型車両は東急から移籍してきたもので,昭和40年前後に製造された車両を改造したずいぶん年をくった新型車両なのである。

三農高前 昭和44年10月1日開業 高清水より0.7キロ
十和田市より4.8キロ
495人 無人駅
三本木農業高校の生徒のための駅。駅は六戸町にあるが,高校は十和田市になる。 三沢方面を望む 駅前すぐに三本木農業高校の校門がある。

 

北里大学前 昭和59年4月1日開業 工業高校前より0.6キロ
十和田市より2.0キロ
107人 無人駅

北里柴三郎を学祖とする北里大学。十和田キャンパスは昭和41年に設置され,獣医畜産学部の学生が学んでいる。

 

工業高校前 昭和44年5月1日開業 ひがし野団地より0.4キロ
十和田市より1.4キロ
303人 無人駅

十和田工業高校は開校40周年を迎える。

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