北海観光節旅行記東京クリスマス

六本木ヒルズ

子供のころから東京を知らないことにずっと劣等感を感じてきたが,年に1回は東京をと思って積極的に東京に足を運んできた結果,ひととおりの東京名所は見てきたように思う。

これまでの東京履歴を整理してみよう。

1993.11  アメ横,浅草,池袋
1998.10  三鷹,吉祥寺
2000.3  初台,恵比寿
2001.9  両国,上野,東大,銀座,霞ヶ関,神宮外苑,神保町,東京タワー,柴又,日本橋,神楽坂,新宿
2002.12  原宿,銀座,巣鴨,池袋,渋谷,東京タワー
2003.12  目黒,新橋,汐留,お台場,深川,人形町,渋谷,神保町,銀座,亀戸,TDL
2004.1  東京ミレナリオ,明治神宮

あと東京で行っていない有名スポットといったら六本木ヒルズである。ということで,六本木ヒルズは今回の東京旅行でまず第一に訪れておきたかったところである。

麻布十番商店街から六本木ヒルズまで歩いて10分もかからない。


テレビ朝日の角に到着。


さっそくけやき坂通りのイルミネーションが目に飛び込む。これははっきりいって見事である。写真で見るのと違って,実際にその場に立つときらめきが違うのである。札幌のホワイトイルミネーションを知っているので雪のないイルミネーションにあまり期待していなかったが,これは素晴らしい。


テレビ朝日の大きなクリスマスツリー。

毛利庭園Snow Brightイルミネーションを見下ろす。東京タワーの色に着目。 毛利庭園から六本木ヒルズアリーナ,六本木ヒルズレジデンスを見る。


毛利庭園にある樹齢300年の大銀杏は『六本木ヒルズ X tree』に変身。

しかし,落葉樹であるイチョウは本来クリスマスツリーにはなりえないはずだ。冬が深くなり,太陽の光が弱まり,夜が長くなると,昔の人はこのまま寒い闇の世界に入っていくのではないかと不安に襲われた。そこで永遠のいのちのシンボルである常緑樹を家の中に飾る慣習が生まれたのである。


オレンジに輝く66プラザから森タワーを見上げる。66プラザは六本木6丁目にあることからの命名。


ウェストウォークの「ハッピートイズツリー」。ツリーには全国から寄せられた手づくりのぬいぐるみ「愛の勇者ライオン君」がたくさん飾られていた。このぬいぐるみは新潟県中越自身で被害に遭ったこどもたちに贈られるという。


再びけやき坂通り。今度は東京タワーの大展望台の部分が緑色になっている。これは「キャンドルタワー」として今日から3日間に限り特別にライトアップされるものである。


けやき坂通りを見下ろす橋はもっと混雑するのかと思ったが,意外と人が少なく静かに眺めることができた。

六本木ヒルズはもっともっと広大なところかと思っていたのだが,意外とこじんまりしており,一周してもそんなに時間はかからなかった。といっても17時過ぎに着いて,もう1時間以上ぐるぐると歩き回っている。どこに何があるのかわかりづらいところではある。


ビルに囲まれた中庭的空間に六本木ヒルズアリーナがある。今日はここでクリスマスコンサートが行われている。

しばし,腰を落ち着けてコンサートに聴き入ることにしよう。撮影禁止だったので写真はない。18時30分からは国立音楽大学の学生によるハンドベル。いかにも上品そうな女学生が,ハンドルベルの奏法を紹介しつつ,「きよしこの夜」「赤鼻のトナカイ」などクリスマスの音楽を奏でた。

19時からはブルガリアン・ヴォイスで女性12名と男性1名による独特の不協和音がびんびん響いてくる。日本にはない神秘の歌声だ。アリーナには椅子が並べられていたが,意外と空席があった。ちなみにこのときの気温は7℃。じっと座っていると結構寒いが,私は北海道仕様の服装で着ているので大丈夫だ。1時間あまり贅沢な時間を過ごさせてもらった。


コンサートが終わると東京タワーが赤色に。これで3色揃った。

実は,六本木ヒルズについてはあまり良い評判を聞いていなかった。たしかに通常の六本木ヒルズはあまり見る価値がないかもしれない。しかし,今日に関していえば見る価値が大いにあったと思う。

東京シティービュー


森美術館,東京シティービューへの入口,「ミュージアム・コーン」。


入館券は1500円。これで展望台と美術館に入れる。


エレベーターで一気に52階へ上がり,展望回廊へ。混雑はそれほどでもなかった。


周囲に視界を遮るものがないというのはそのとおりだが,あまり印象に残らない夜景だった。

森美術館

展望室の1つ上の階が森美術館になっており,展望台の入館者は無料で観覧することができる。今日は「アーキラボ 建築・都市・アートの新たな実験展1950-2005」が開催されている。

最近は物も情報もあふれすぎていて,本を買っても読む暇もなければ書棚にスペースもない。だから東京では博物館や美術館巡りに重点を置き,その場で吸収するということを大事にしたいと思っている。

展示内容は非常に興味深かった。「新たな実験展」ということで,いわゆる実験住宅や万国博覧会におけるパビリオン,またその理論などを系統立てて展示している。いわば前衛的な現代美術の展覧会の建築版である。

このような時間帯に美術館メインで入館している人は少なく,展望台の帰りがけに見て行く人がほとんどだから,私がゆっくりと見ていると後ろをどんどん人が通りすぎて行く。「正直言うとわかりません」「見る人が見ればすごいんだろう」という声が聞えてきた。たしかに一般の人が持っている建築のイメージとはずいぶんとかけ離れていることと思う。

「見る人が見ればすごいんだろう」と言うが,たしかに見る人が見ればある程度の理解はできるだろう。しかし,これらの展示を見て,心の底から素晴らしい,すてきだと思う人はいるのだろうか。

私も展示を見て勉強にはなったが,決して良いとは思わなかった。純粋な芸術には良いも悪いもないと思う。しかし,建築学は本来工学という実学に位置づけられるもので,芸術でありながらも常に人の役に立つものでなければならないという使命がある。そこで建築家は難しい理論をこねくり回して宇宙や生命の摂理を空間に表現しようとするが,実際それらは人類の将来に対して何の役にも立っていないのである。そもそもほとんどの人が「正直言うとわかりません」というようなものが良いわけがない。

1時間40分ほどの見学時間ではとうてい見切れず,最後は流して展示室を後にした。


66プラザのFloatingイルミネーションを通って地下鉄の六本木駅へ。


東京メトロ日比谷線,六本木駅。コンクリートと配線むき出しのこのじめじめした雰囲気も,いかにも東京という感じがして好きだ。東京に来たことがなかった子供のころ,東京といえばまさにこのようなイメージを持っていて,実は少し憧れたりもしていた。

8駅目の茅場町で下車。

16時前に麻布十番でラーメンを食べてから何も食べていないのでお腹がすいてきた。ちょうど地下鉄の駅を出たところに牛丼屋があったので入ってみた。


「豚丼」を注文する。はて,「ぶたどん」と読むのか「とんどん」と読むのか。大学の頃,学生食堂のメニューに「豚汁」があって,内地出身の学生は「とんじる」と言っていたような気がする。エイヤー,我は道産子だいと思って「ぶたどんください!」と頼む。

この食堂,昨年も大宮駅前にあった系列店でお世話になったが,頼んでから出てくるまでが異常に早い。しかも値段の割りに量が多い。しかし,一緒に頼んだ「けんちん汁」を飲み干すと,底からぬるっとしたご飯粒が見えてきて,気持ち悪くなった。

外に出て幟を見ると,豚丼に「ぶたどん」とふりがながしてあった。


本日のお宿。明後日まで2連泊である。

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