[北海観光節]  [北海道駅前観光案内所]

根室本線 その4

[釧路→根室]


「鉄道ファン」Vol.12-134より

根室本線の最後は"花咲線"と愛称がつく区間です。釧路まで来れば根室はもうすぐかと思いきや,根室まではまだ2時間以上かかります。こんなことからも北海道の広さが実感できることでしょう。落石あたりの海岸は北海道以外ではまず見られない景色だと思います。そしてほとんどの利用客が釧路−根室を乗りとおすだけに,途中の駅で降りれば,雄大な景色を自分だけのものにできます。

根室本線[釧路→根室]の概要


●歴史

釧路から根室線として建設が進められ,厚岸(T6),厚床(T8),西和田(T9)と順次開業し,根室には大正10年8月5日に達した。同時に釧路本線を根室本線と改称した。以上,根室本線の生い立ちをまとめると,次ぎのようになる。

明治40年9月8日  旭川−釧路間全通  釧路線
大正2年11月10日  滝川−下富良野全通  滝川−釧路,釧路本線
 (旭川−下富良野は富良野線として分離)
大正10年8月5日  釧路−根室全通  滝川−根室,根室本線

古くは札幌−根室間の急行狩勝,函館−根室間の急行ニセコなど,釧路以西に直通する優等列車も走ったが,おおむね釧路以西とは切り離された歴史を歩み,1991年7月1日に花咲線運輸営業所の設置にあわせて「花咲線」の愛称が与えられ,独自の道を歩んでいる。しかし,肝心の根室に向かう区間が根室本線と呼ばれなくなったのはどうしたことだろうか。根室の人はこの線路が根室本線だということを,もっと誇りに思って良いと思う。

       

●車窓

非常に特異な景観が見られる路線で,道外からの旅行者のみならず,多くの道民にとっても感動に値する好景観路線といえる。別保からトンネルを抜けると,それまでとは全く違う別世界に入る。車窓のピークは厚岸−糸魚沢間の厚岸湖と別寒辺牛湿原,別当賀−昆布盛の海岸段丘である。朝は霧に包まれることが多いが,それも幻想的。鹿やタンチョウが線路に出てきて急停車することもある。
釧路から根室に向かって,右側(海側)の車窓が圧倒的に良い

●運行系統

釧路の前後で完全に切り離された運用となっているが,特に特急列車との接続は良い。ただ接続が良すぎて駅弁を買う時間すらない場合がある。特急・急行は運転されていない。釧路−根室間に快速はなさき,快速ノサップが1往復ずつ,2時間5分前後で結んでいる。他普通列車が5.5往復,釧路−厚岸間の区間普通列車が4.5往復ある。列車の交換は上尾幌,厚岸,茶内,厚床,落石で列車で行っている。臨時列車は「厚岸湖白鳥ノロッコ号」などの運行実績がある。

●利用状況

通勤・通学の利用者は少ない。特に釧路,厚岸,根室の市街地近郊ではバスが充実しているため,JRの近距離利用は極めて少ない。しかし,釧路−根室間など長距離区間になると,バスより花咲線のほうが充実しているため,この区間通しの利用者はそれなりにいる。
年間を通じて旅行者は多いが,彼らもほとんどは釧路−根室間を通しで利用する。したがって,良い席を確保しようと思えば釧路あるいは根室でがんばらなければならない。特に根室行きの始発はおおぞら13号からの乗り換え客で激戦となる。厚岸までの区間列車は空いていることが多いので,厚岸までの利用なら1本ずらしてみるのもよいだろう。旅行者の客層は鉄道マニアや学生の貧乏旅行よりも,年配客が目立つのがこの線の特徴。特急・急行が運転されていないからだろう。

●車両

全列車キハ54形500番台が使われている。オリジナルのセミクロスシート車はなく,特快きたみ仕様の固定リクライニングシートか,急行礼文仕様の転換クロスシートに換装されている。これらのシートは座席と窓のピッチが合っておらず,まったく外が見えない席もあるので注意。またトイレが洋式に改造されている車両もある。側面には花咲線のロゴが入れられている。ほとんど単行での運用で,釧路1734発根室行のほか釧路−厚岸の1往復のみが2両編成。

それでは,根室本線その4各駅停車の旅をお楽しみください

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