[北海観光節] [北海道駅前観光案内所]
[上川→生田原]
日本交通公社時刻表,1986.3
北見峠の深い山や,貫禄ある駅舎,さわやかな山村の風景など魅力いっぱいの区間です。丸瀬布,遠軽,生田原などは見どころも多く,とくに生田原のちゃちゃワールドはおすすめです。その他の駅は停車する列車が少なく下車するのが難しいのですが,特に上川−遠軽間は全国屈指の列車の少ない区間で1日1往復しか停車しない駅もあります。時間が止まったような風景に出会えますので,苦労してでも探訪してみる価値はあります。
おおむね明治22〜23年に囚人により開削された北見道路に沿う区間である。現在札幌・旭川方面から北見・網走方面へは国道39号石北峠がメインルートになっており,石北本線はまったく別ルートを行っているように見えるが,昭和35年までは道路も鉄道と同じルートをとっており,こちらが表街道だった。
既に旭川,富良野,池田経由で鉄道が達していた野付牛(現・北見)からは,官設の湧別軽便線として線路が延伸された。当初は762mm軌間で建設されたが,大正5年には北見−湧別間が1067mm軌間で全通し,大正11年9月に湧別線と改称。
一方,上川−遠軽間は大正14年着工。遠軽側で湧別線からの分岐駅を遠軽にするか下生田原(現・安国)にするかでもめたが,遠軽からスイッチバックで分岐するこことなった。遠軽から丸瀬布,白滝と順次開業し石北東線と称していたが,昭和7年石北トンネル開通で全通,新旭川−野付牛間を石北線と改称した。
なお,上越(信),奥白滝(信),上白滝,下白滝には開業当時の駅舎が残っている。
上川から国越え区間に入る。標高644m,北海道鉄道最高所の北見峠越えである。上川市街を抜けるとすぐ山の中に入る。天幕あたりはまだ畑があり人の気配がするが,中越まで来ると完全な山奥である。ただ建設中の旭川紋別自動車道が目に付き,この先丸瀬布まで車窓に付きまとう。峠越え区間は深い山で眺望もきかないが,たまに見える道路や,深い森,渓流など車窓は変化に富んでおり,飽きることはない。また中越(信)−上白滝間は25パーミルの急勾配が続くので列車のスピードは遅く,のんびりした車窓見物を楽しめる。上白滝あたりから再び畑や人家が見えてくる。白滝,丸瀬布と小さな町が点在する湧別川流域は,山に囲われたのどかな車窓が展開,瞰望岩を仰ぎ見て遠軽到着。進行方向を変えて生田原に向かって再び山あいに入る。
上川→白滝は左側,白滝→遠軽は右側,遠軽→生田原は右側(遠軽で進行方向が変わることに注意)の車窓が良い。
特急オホーツクが5往復,特快きたみが1往復走っている。停車駅は上川,白滝,丸瀬布,遠軽,生田原。白滝,丸瀬布,生田原は一部の特急しか停まらない。また特快きたみは安国にも停車する。なお特快きたみは青春18きっぷで利用可。
普通列車の少なさは全国随一で,上川−白滝間を運行する普通列車は1日1往復のみ。白滝−遠軽,遠軽−生田原には通学向けに区間列車が運行されているが,旧白滝,下白滝,新栄野,生野はそれぞれ遠軽行が1本,遠軽発が3本しか停車しない。
特急停車駅にしても遠軽以外での乗降客はほとんどいない。並行して走る特急バスに利用者が流れていることもあるが,もともと沿線人口が少ない区間である。特快きたみは特急と所要時間が変わらないにもかかわらず,特急料金が不要ということで人気があるが,やはり途中駅での乗降は少ない。
普通列車については峠越え区間は定期的な利用者はないと思われ,利用者があるとすれば青春18きっぷなどで旅行している人たちで,乗客0となることも珍しくない。いわゆる鉄道マニアの姿は意外と少ない。1日1本しか列車の停まらない上白滝も定期利用者がいる。
白滝−生田原は湧別川圏域の町村で,遠軽を中心とした通学生の利用がある。
普通列車に関しては座席確保の心配はまったくいらない。
普通列車は基本的にキハ40形700番台が使用されている。北見峠はパワー不足のため2両編成で運転されるが,それでも速度は20km/h程度まで落ちる。その他も単行または2両編成での運用が多いが,遠軽の下り始発は通学列車のため4両編成となる。
特快きたみはキハ54を固定式リクライニングシートに完走した専用車両が使用されている。特急オホーツクはキハ183系の中でも0番台,900番台などいちばん遅いタイプの車両が充当されている。
それでは,石北本線その2 各駅停車の旅をお楽しみください