祖母から引き継いだ一連の地図の中に入っていたものだが,出版年,価格などの記載がなく不明な点が多い。出版年については「最近爆発した有珠岳」「釧路村」の記述があることから昭和53年から55年の範囲内と推定される。
コンセプト
余白部分には,国立公園,国定公園,道立自然公園のガイドが,また北海道全図内に朱書きで各市町村の見どころ,祭り,味覚が記載されている。なお現在国立公園は昭和62年に釧路湿原が加わって6箇所に,国定公園は同56年に日高山脈襟裳,平成2年に暑寒別天売焼尻が加わって5箇所に増えている。
阿寒国立公園
"まりも"について,はっきりと「おみやげ用は偽物」と書いているガイドは珍しい。実際のところシラルトロ湖のマリモを人工的に丸めて作っているらしいが,シラルトロ湖の藻も環境破壊によって減少しているようで,お土産のマリモを作れなくなる心配もあるそうだ。昭和20年代までは本物のマリモが高級なお土産として販売されていたという。
白糠付近
コンセプトどおりかなりマイナーな町まで観光ガイドが載っている。白糠の乳呑自然公園の桜など聞いたことがない。音別の蕗まつりは昭和34年から47年まで開催されていたが,乱獲により蕗が減少しこの頃は行われていなかったはずである。2003年に「北のビーナス蕗まつり」として会場をバシクル湖畔に移して復活した。
池田町は昭和45年に町営レストラン開設,同49年にワイン城,同50年にまきばの家開業。ちょうどこの頃大分県で一村一品運動が始まっていた。昭和58年に横路氏が道知事に当選すると北海道でも一村一品運動が起こり,十勝ワインは一村一品の先駆けとして注目された。