私が初めて自分の意思で親に買ってもらった地図である。昭和61年,小学4年生のときだったと思う。この当時1/250000という大きな縮尺の地図帳は珍しく,しかも全国版であり,B4版というサイズももの珍しかったことからこの地図を選んだのだが,あまり優れた地図ではなかった。
このB4版マップルシリーズは昭和59年に刊行開始。現在は絶版になったようだが,ホクレンマップがこの地図の系統を継いでいる。
新得付近1/250000
昭和41年に廃止された根室本線旧線は実験線として使用され,昭和54年にその役目を終えたはずだが,その後もしばらく地図に掲載されていた。現在は国道274号が清水町から士幌方面に延びているが,この当時はまだ道道。
この地図は表現が平面的で味気ない。旅情に欠けるのは現在も昭文社の地図に共通するところである。主要道道は緑線だが路線番号の表示がなく路線名も記載されていない。一般道道とその他の道は区別がつかない。
なお昭和60年というと国鉄赤字ローカル線の第一次廃止対象路線の道内における廃止が完了した年であるが,第二次廃止対象路線の胆振線,富内線,広尾線,瀬棚線,湧網線,士幌線,羽幌線,幌内線,松前線,歌志内線,標津線,名寄本線,天北線の廃止は昭和61年以降であり,この地図にもまだ残っている。
道央自動車道料金表
この頃,私は高速道路が好きで,札幌に行くと高速道路を走るのが楽しみだった。上富良野小学校3年生のとき社会科の授業で「私たちの町にあったら良いもの」を一人一つずつ言わされたことがあった。私は,「高速道路!」と言ったが,そのころ先生(戦前生まれで免許なし)を含めて高速道路というものをみんな知らなかったのだと思う。黒板にみんなのアイデアが列記されて,それぞれ賛同する人の数が書かれていったが,高速道路は40名中3名しか手が上がらなかった。
もし今同じことをやったら,8割方の人が賛同するであろう。しかし,今の私は高速道路には絶対反対である。
巻末には温泉,博物館,資料館,観光協会,マスコミなどの連絡先がついている。しかしこれが実にいい加減なもの。図は資料館・記念館の項であるが,青少年科学館に混じってなぜ小樽文学館や旭川兵村記念館が掲載されているのか理解できない。