2. 鬼峠アタック前編
2009年3月13日(金)
14日の集合時間は8時30分なので,列車やバスで行くとなると,当日の朝に旭川を出発したのではどうやっても間に合わない。占冠に前泊するには金曜の昼から仕事を休まなければならないので,帯広に夜遅く入って前泊することにした。
2009年3月14日(土)
朝起きると雨が降っていた。天気予報によると,今日は全道的に大荒れで,雨が降るという。吹雪ならまだしも,雨というのは最悪である。
それでも新得を過ぎたあたりから雪に変わってきたが,狩勝峠を越えるとまた雨に戻った。トマムでこの時間から雨なら,鬼峠も確実に雨である。これはどう考えても鬼峠越えは無理だと観念した。
占冠7時52分着。すぐに日高町営バスに乗り換えて,役場前まで来たが,道の駅前の国道が冠水しており,横断するのに一苦労した。ただいまの気温,プラス5.2℃。雨自体土砂降りというほどではないが,この時期に雨が降ると雨水管が機能しないので大変なことになるのだ。
道の駅では札幌のhamaさんが既に到着していた。写真はhamaさんが撮影されたもので,国道274号名石橋付近では,冠水のため交互通行になっていたそうだ。
鬼峠アタック中止の場合は,温泉に入ってワインを飲んで,昼からニニウワークショップに合流という話もあったので,恐らくそういうことになるだろうと,hamaさんとは話し合った。
やがて,道の駅の軒下に続々と参加者が集まってきた。とりあえず新旧鬼峠の地図をコピーしておいたので,配布した。
●8:43〜 ガイダンス
ガイダンスではまず細谷さんから天候の概況が説明された。今日は前線を伴う低気圧が日本海側から接近しており,相当の降雨が見込まれること。一旦小康状態になるかもしれないが,峠越えを強行すれば,午後から気温が下がり,凍傷になる恐れがあるとのことだった。しかしながら,できれば昨年道を誤ったと思われる峠の入口部分に再挑戦し,大木のあるところまでは行ってみたいとのことで,しばらく天気の様子を見ることになった。
続いて,山本さんから,鬼峠の歴史について説明があった。
その間に,元役場職員の長谷川さんが到着。ニニウについて次のようなことを語ってくださった。
- 鬼峠(新鬼峠)は消防のキャリア(ウインチ付きのトラック)なら車で越えることができた。急斜面はウインチで巻き上げた。最初にトラックで越えたのは結核検診のときで,レントゲン機材を車に積み,その他の人は徒歩で越えた。ニニウではその場で現像もして判定した。
- ニニウではトラックに子供達を乗せて学校のグランドを何周もした。子供達は車を珍しがって離れなかった。
- そのときは,16ミリの映写機も積んでいき,2時間ものの映画を2本持っていったが,一晩中やってくれと言って帰らないので,同じ映画を2回上映した。
- そういう場所だったので,ニニウは一家族のようなもので,行くと大歓迎された。春先に行くと異様な臭いがして,それはご馳走のアイヌネギだった。ほかにサクラマスやニワトリがニニウのご馳走だった。
- 自給自足の地域だったが,村の中ではいちばん南で標高も本村より100メートルほど低く,季候は良かった。リンゴなどもできて,裕福なところだった。
長谷川さんは風邪を引いて今日は参加できないとのことだったが,いつか一緒に越えてみたいものである。
9時になり道の駅の玄関が開いたので,中に移動。服装の確認が行われた。
見渡してみると,みなそれなりに防水性のあるカッパや長靴を持参しており,実は行く気満々であることが判明した。
●9:20 道の駅出発
写真,右前方の林道は新鬼峠入り口。今年は森林の伐採が入っており,かなり上まで除雪されているらしい。
ソーウンナイ林道入口に到着。車数台に分乗して来たが,ここに車は停めておけないので,各車のオーナーは道の駅まで車を置きに行くことに。どうもありがとうございました。
●9:45 行程説明
雨足が強まる中,地形図を見ながら今日歩くコースの説明が行われた。
今日は,上の地図に「ソーウンナイ林道」とある道を登り,ハリギリの大木またはミズナラの大木まで行って引き返す予定である。昨年ははじめからソーウンナイ林道に入らずに,新鬼峠を少し登ってから谷を越えたために大変難儀をした。あくまでも推測であるが,ソーウンナイ林道は旧鬼峠のルートをたどっていると思われる。
●9:50 出発
19名の隊列を組んで,いざ出発。
30分ほど歩き,昨年の合流点に到達。ソーウンナイ林道は素直に山肌に沿った道で,やはり旧鬼峠のルートに沿っている可能性は非常に高いと思う。
この雨で,雪の上に水がたまっていたり,融けかけた雪のアンモナイトがあったり,森の中も独特の様相を見せていた。
時折,地図で道を確認しながら進む。
周囲はかなり人の手の入った人工林とはいっても,やはり森の中は気持ちがいい。昨年登りは新鬼峠を歩いた山本さんも,こちらのほうが格段に楽しいとおっしゃっていた。