1. 開催に至るまで
●2011年2月13日(日) 「休刊日おやじ飲み会」
昨年と同様,2月の新聞休刊日前日のこの日,「休刊日おやじ飲み会」と銘打つ,鬼峠フォーラムの事前打ち合わせが行われた。これより前に,鬼峠フォーラムは3月12日(土)に開催することに決定し,2月10日の時点で,日程のみ各方面に周知された。
富良野から村営バスで占冠村に向かい,14時過ぎに到着した。
時間があったので,道の駅をのぞいてみた。6月の高速道路無料化以来,占冠の道の駅の利用者は激増している。冬とはいえ,連休ということもあって,ショッピングモールやトイレには行列ができるほど混雑していた。
廃校となった占冠小学校校舎に,2010年11月オープンした「しもかぷ工房」のコーナーが新たにできていた。1月には「サクラの五角箸」が験担ぎグッズとして道新に紹介され,多くの注文があったという。
動物写真家・門間さんのポストカードと,カリフリ農場で育ったレッキスウサギの毛皮。この村で作られたものが所狭しと並べられていた。
昨年の鬼峠フォーラムでサンプルを見させてもらった「羆の油」が,ついに一般に販売されていた。2009年秋に双殊別で捕獲したヒグマからとったものだという。
道の駅には4か国語対応の観光案内版が新設されていた。鬼峠も"Oni Touge Pass"と英語併記できちんと載っている。地名は基本的に漢字と英語で書かれているが,中国語対応のためかニニウは「新入」という,かつてあった学校名以外では使われることのない漢字も併記されていた。
16時過ぎ,字占冠にある日月社の山本さんを訪ね,今夜の会場となる観音さん宅に向かった。予定を決めるのに山本さんが携行していた「占冠村民カレンダー」は,占冠村民以外にはほとんど知られていないが,イラストが山本さん,写真が門間さんの手になる非常にクオリティの高い冊子型カレンダーである。
ぽつらぽつらとメンバーが参集し,18時10分,湯の沢温泉からご馳走を持った高橋さんが到着された。忙しくてあまり手がかけられなかったとおっしゃっていたが,ほかではまずいただけない鹿肉尽くしの盛り合わせに,みな興味津々。
ご馳走に手をつける前に,まずはまじめな打ち合わせ。山本さんが用意されたレジュメをもとに,当日のプログラムが練られた。
鬼峠フォーラムもかれこれ5回目になる。今年は4月に村議選,10月に高速道路の開通が控えており,おそらく今年の3月と来年の3月では村の状況がかなり変わっている。そういう意味でも,今回のフォーラムは一つの節目になると思われた。私としてはやりたかったことは去年までにかなりできたので,今年は気負った感じもなく,とりあえず峠を越えて,そのあと少し落ち着いて話せる機会が持てればそれでよいと思った。
○新か旧か
毎回のことであるが,鬼峠は新しい道と古い道の2ルートがあり,そのどちらを越えるかがまず議論となった。1回目と4回目では,往時を知る人たちとともに新しい鬼峠を越えた。2回目は初代の峠を越えたが,あまりにも不確定要素が多かったためメンバーを制限し,越えたのは7名だけだった。3回目は雨のため峠越えは中止となった。
新しい鬼峠もニニウ側のルートが完全にはたどれておらず,もう少し丁寧にじっくりとたどりたいという思いもある。しかし昨年の参加者の話を聞いてみても,やはり鬼の名がついた所以である初代の鬼峠を越えたいという気持ちが,だんだんと高まってきたように思われた。
新しい鬼峠を越えるのと,古い鬼峠を越えるのとでは,越える意味がまったく違う。初代の鬼峠は体力・技術的にも厳しいものがあり,越えるなりの体制と余裕,そしてみなの気持ちがそこに向かうタイミングが揃わなければ,半端に越えられるものではない。しかし,機は熟してきたようである。今年は古い鬼峠(初代鬼峠)を越えることになった。
○オリエンテーション
昨年の反省として,初めての参加で,よくわからないままに鬼峠を越えてしまうという状況が一部に見られたということがあった。初めての参加者にも理解してもらえるよう,最初のオリエンテーションで鬼峠やニニウの歴史をきちんと説明する時間を設けることにした。
○採用されなかった案
打ち合わせの場で提案されたが,採用されなかった案として,会田さんの家に泊まるという企画があった。また毎回出る話として,鬼峠がニニウの人たちの道であったならば,ニニウから中央市街に向かって峠を越えてみるべきだという意見がある。ただ,バスで一度ニニウに行って歩いて戻るのは,興ざめな面もあり,どうせならニニウで会田さんの家に泊まることにして,往復鬼峠を越えるという話もあった。しかし,30名程度の参加者が見込まれる中で,40年近く使用されていない廃屋に大人数で泊まるのはリスクがあるとして見送られた。
米と臼をそりで引いて越え,ニニウ到着後に餅をつくという案もあった。鬼峠の時代,ニニウでは米ができなかったこと,また,雑穀を主食としていたニニウでは石臼が最も大切な生活用具で,石臼を背負って峠を越えたという話が伝わることを踏まえた,意味深い提案である。それと昨年もあった話で,北海道の開拓時代の人たちは,家族一人ひとり自分用の「石」を持っていて,出かけるときは暖を採るために石を焼いたのを抱いて歩いたとも言われている。それで,今年はもう過ぎてしまったが,3月ではなく大寒の日あたりに峠越えをして,実際に石の暖かさがどこまで持つか検証してみてはという提案もあった。
20時を過ぎて観音さんが夜食を作ってくださった。タコのエキスがしみ込んだオリーブ油のスープに,まあらあのくばんさんのパンを浸していただく。
これも観音さんの,「占冠産のじゃがいもと鹿肉そぼろで作ったジャーマンポテト」。占冠のいまいちばんの旬は「いも」だというだけあって,大変においしかった。
私は翌日仕事があったので,20時半過ぎで失礼させていただいた。その後も,「おやじ飲み会」は深夜まで続いたとのことである。
●2011年2月27日(日) メールにて開催案内
この日,次の内容で開催が告知された。
2月も残すところ明日1日となりました。先日の大雨ですっかり春になるかと思いきや、ここ数日は冬に逆戻りですね。それでも日差しは確実に春に近づいています。 さて、先に日程のみをお知らせしました「鬼峠フォーラム2011」の詳細が決まりましたので、お知らせいたします。 今年もスノーシューによる鬼峠越えと、座談会、交流会などを予定しています。ドラマ鬼峠の鑑賞もしたいですね。共に鬼峠を越えて、先人と対話し、地域の未来を考えましょう。そういえばあの世に行くことを鬼籍に入るといいますね。その意味でもこのフォーラムは鬼との対話ということかもしれません。 鬼峠越えが難しいという方は、ニニウワークショップ+交流会という参加も可能です。ワークショップではニニウ神社を尋ねて奉納相撲など行いますので、充分にニニウの文化に触れてもらえると思います。どうぞ遠慮なくご参加ください。 ____________________________________ 鬼峠フォーラム2010 (占冠村教育委員会・自主創造プログラム) ____________________________________ 主旨 今はなき、占冠中央からニニウへ通じる「鬼峠」。すべての人、すべての物資が通ったこの峠をスノーシューで辿り、朽ち果てそうなニニウ神社の小さな祠の雪下ろしをして、奉納相撲をとる。陸の孤島といわれた占冠からさらに3時間の地ニニウで暮らした当時の人々と心を通わせ、現代の豊かさを問う。そして地域の未来を考える。 「鬼峠とは…」 昭和56年まで鉄道もなく陸の孤島といわれた占冠。ニニウはその占冠からさらに鬼峠を越えて3時間の集落だった。現在の鵡川に沿った占冠〜ニニウ間の道が出来たのは昭和35年のこと。入植のはじまった明治41年からこの道が出来る昭和35年まで実に50年以上、最盛期には30戸もの人々が住んだニニウへの唯一の道がこの「鬼峠」だった。この道を通り、夢を求め入植した家族、嫁いできた女、逃 げていった男、すべてのひと、すべての物資、そしてひとびとの夢や想いも、すべてこのまぼろしの峠を越えていったのだ…。 ____________________________________ 日程 2010年3月12日(土) 12日(土) ●鬼峠越え 今年は、一直線にニニウへ向かう明治時代の初代鬼峠「鬼コース」を辿ります。 下りはかなり急な道となりますので、5〜6時間程度雪の上を歩くことができる体力が必要です。(昨年までの仏コースよりも距離は短いがハードです) 08:00 道の駅集合 オリエン 08:15 鬼峠入り口までバスで移動 08:30 峠越えスタート 11:30 鬼峠頂上到着 > 昼食(各自弁当) 12:00 下り出発 14:00 ニニウ到着 ニニウワークショップ参加者と合流 ●ニニウワークショップ 13:00 道の駅集合 13:10 ニニウの歴史などバスの中で学びながらニニウへ 14:00 ニニウ着<鬼峠越え組と合流> ニニウ神社雪下ろし 雪上奉納相撲 15:00 ニニウ発 ●鬼峠座談会&交流会 16:00 湯の沢温泉着 ひとっ風呂浴びて、座談会準備開始 18:00 鬼峠座談会&交流会 鬼峠、それぞれの想い、峠越えの感想など ニニウ食やエゾシカを楽しもう(観音さん&勝美さんの鹿肉料理) みなさんからの1品持ち寄りをお願いします(できれば占冠の昔からある料理・地元素材を使ったもの) 21:00 終了 2次会 ____________________________________ 鬼峠フォーラム2007 鬼峠ミーティング2008 鬼峠フォーラム2009 報告はこちら。http://www.onitoge.org/ninew/index.htm 「鬼峠を越えてニニウまで」 山本敬介 Eastside013号 2006.5.1発行 http://www.kaneda-berry.com/onitouge.html ____________________________________ 参加費 ●ニニウワークショップ 無料 ●鬼峠交流会 2700円(1品持ちよりをお願いしています) お酒飲む方 1000円 ●宿泊(湯の沢温泉)+朝食 3300円 合計(すべて参加の場合) 7000円 ____________________________________ ●申し込み お名前( ) 参加日程(全日程参加・部分参加) 部分参加の場合 鬼峠越え・ワークショップ・交流会 宿泊(する・しない) その他質問事項など ※占冠駅から交通手段のない方などご相談ください。 調理隊のお手伝いいただける方も募集中です。 申し込み先 (略) 締め切り 2011年3月7日(月) ____________________________________ ●持ち物 ◆鬼峠越え参加の方 スノーシュー、ストック、お弁当、飲み物、携帯食、防寒着、着替え ※スノーシューレンタル希望の方は事前にお申し込みください。 ◆ワークショップ参加の方 雪の上を歩ける格好、防寒着 ◆交流会 マイ箸、マイカップなどあればお持ちください。お持ち帰り用タッパも各自お 持ちください。2次会用お酒、おつまみ差し入れも大歓迎です。 ◆ワークショップ参加の方 あればスノーシュー、雪の上を歩ける格好、防寒着 ____________________________________ |
●2011年3月8日(火) 道新に告知記事が掲載される
この日,北海道新聞の「旭川・上川」面に,鬼峠フォーラムの告知記事が掲載された。富良野地方面ではなく,旭川・上川面に載ったのは初めてである。これはちょっと大変なことになったと思った,今年は非常に険しい旧ルートを越える予定であるが,そういう事情を知らずに参加してくる人たちが出てくるのではないかと思われたからである。
いずれにしても,新聞記事を見て,いろいろな人が参加してくる可能性があるので,少し力を入れてオリエンテーション用の資料を作ることにした。