[北海観光節]
小さな旅行記 2003.6.8
小さな小学校の運動会は面白いものである。テレビを見たりゲームをするよりもずっと面白い。小学校高学年の頃だったと思うが,父が小さな学校の運動会に凝っていた時期があって,父に連れられて上富良野や美瑛の学校の運動会をいくつか回ったことがある。
今年は釧路管内の運動会をいくつか巡ってみようと思って,情報収集を始めたが,ほとんどの学校でホームページを持っているものの,行事予定は掲載されておらず,情報は皆無だった。商売柄釧路管内の学校のことに詳しい職場の同僚に訪ねてみるも,運動会の日程までは把握しておらず,教育委員会に聞けば一発でわかると言われたが,道楽で見に行くのにそんなところに聞くわけにもいかない。困り果てて,この筋に詳しいと思われる釧路在住のとっぷさんに訪ねたところ,釧路管内の学校ではおおむね6月8日か15日に開催されるということがわかり,当日の地元紙に予定が掲載されるとの情報を得た。
8日朝,いつもの日曜より早めの7時に起床し,まずコンビニに行って「釧路新聞」を購入した。すると載ってる載ってる,管内の学校は軒並み今日が運動会のようだ。
9時ちょうど,阿寒町仁々志別小中学校到着。折りしも開会を知らせる花火が,ド,ドーン,バッ,パパパパパパパー,と鳴り響いた。
やってるやってる。君が代の演奏に引き続き,校歌斉唱。子供たちは一生懸命歌っているが,この人数では声が山に吸い込まれて行くようだ。小さな学校ではスピーカーの音にも味がある。蓄音機のような音というと大げさだが,久しぶりに小さな学校の運動会を見た感激とあいまって,目がうるうるしてきた。
グランドのラインに注目。グランドが小さいので斜めにしないと100mが取れないのだ。
優勝旗返還。A班,B班,C班の3班に分かれて競技を行うようだ。この後,実行委員長,校長,児童会長,助役の挨拶,審判長注意があり,班ごとに決意表明があった。
プログラム2番,ラジオ体操。
競技が始まるのを待ちたいところだが,ここで仁々志別小中学校をあとにした。
今日は12時までの間,30分に1校ペースで巡っていこうと思う。
9時40分,鶴居村幌呂中学校到着。幌呂は独自の農協を持っているほどの大きな集落で,町の学校の運動会という感じだ。グランドも広々としている。会場は中学校だが,小中の合同開催となっている。
小学校の徒競走。
人数が少ないので次々と種目が進行する。
次は中学生全員による障害物競走。全員といっても15人くらい。
スタート。
この規模の学校だと指定のジャージやTシャツがないのだろうか。女子生徒はおしゃれをしてピンクのシャツを着ている。
まずは,重たいバケツを持ってグランドを半周。
次は縄跳び走。
写真ではわかりずらいが,反復横跳びである。
続いて腹筋。
最後はタイヤを引っ張ってゴール。
障害物競走というよりは,筋トレだ。この後何種目あるのかわからないが,ばててしまわないだろうか。
10時13分,鶴居村茂雪裡小学校到着。
ここは10時開会だったようで,開会式が行われていた。各学校で開会時刻をずらすのは町長や助役の挨拶の関係だろう。
児童は5名。先生のほうが多い,非常に寂しい開会式だ。
校長先生の挨拶。「今年は5人になりましたので,紅白に分けないで行うことにしました」という寂しい挨拶が涙をそそる。1年生の○○さん,3年生の○○さん,,,と一人一人に言葉をかける。
この校長先生,白のジャケット姿がいかにも山の学校の校長先生という感じがして好ましい。しかし,赴任してから今年で3年目,過去の2回の運動会はいずれも雨に見舞われ,「雨ふり校長」と呼ばれているそうである。
みんなでラジオ体操。おじさんおばさんがたは動きがばらばら。
この小学校の卒業生は鶴居中学校に通うと思われるが,鶴居中は今日は運動会ではないため,卒業生も応援に来ていた。このあたりは日程がうまく組まれている。
そろそろあとにしようと思ったとき,決意表明が始まった。これには思わず聞き入ってしまった。何をやるかというと,一人一人壇上に上がり,先生のドンドコドコドコドコという太鼓の後,今日の目標を声高らかに表明し,児童一堂タンバリンで喝采,続いて今日楽しみにしていることをまた声高らかに述べるのだ。みんな昼の弁当が楽しみだと言っていた。
みな見事に堂々としていたが,ちょっとかわいそうな気もした。私が小学生のときのことを思うと大変な恥ずかしがりやだったから,人前でマイクでしゃべることなど一度もなかったし,まして良く知った地域の人たちの前でしゃべるなど絶対嫌だった。ここの子供たちはもう慣れっこなんだろうか。
もっとずっと見ていたい気がしたが,30分に1校ということとで,心を鬼にして立ち去る。