博物館系の施設というのは近くにあってもその気にならないとなかなか行かない施設である。10月29日から31日まで厚岸の郷土館が無料開放されると聞いて,この機会に近郊の博物館を巡ってみることにした。秋は博物館,雨の日は博物館。今日は絶好の博物館日和である。
今年9月にオープンしたばかりの新しい郷土館である。国道391号沿いの達古武小中学校の廃校舎を利用した施設で,無人だったが自由に見学できるようになっていた。
達古武小中学校は昭和54年3月閉校。校舎は体育館のみが残り,渡り廊下で釧路町公民館達古武分館とつながっている。
体育館もかなりガタがきており,建物の解体が検討されてもいい頃のように思えるが,これからまた郷土資料館として使っていこうという意気込みには拍手したい。
山仕事,畑仕事に使用された道具が展示され,それぞれ簡単な解説が付されていた。人口2万2千の町にしてはずいぶん貧弱な展示だが,これまでこの手の展示施設が町内にまったくなかったのだから,大きな一歩を踏み出したと言えよう。今後の充実を期待したいところである。
国道391号を北上。
この郷土館は明治18年に設置された釧路集治監の本監として建てられ,明治34年に廃監になった後,軍馬補充部の事務所として使用されていた。昭和44年に現在地に移転。先年建物に構造上の欠陥が見つかり,基礎を打ち直すなどして今年4月に再開した。
入口脇に立派な事務室があり,学芸員が常駐している。この規模の郷土館で学芸員を雇っているというのは珍しいことである。
入館すると学芸員さんが出てきて,1階は歴史の展示であること,2階は自然の展示であること,何か質問があれば声をかけてほしい旨手際良く説明があり,また事務室へと戻っていった。
近代資料展示室。 | ポーチ上部の部屋は集治監の資料展示。 | 2階は自然資料。膨大な数の鳥の剥製が圧巻。蝶の標本展示も。 |
標茶には釧路集治監と軍馬補充部という2つの大きな歴史がある。展示もこの2つのテーマを柱に構成されており,他の町にはない歴史だけに興味深く見学した。しかし展示が古い。開館以来まったく手を加えていないのではないかと思われるほどである。平日など入館者は皆無だろうから,学芸員さんも時間はたっぷりあると思うのだが,展示に手も付けず毎日何をして過ごしているのだろうか。不思議である。
郷土館の道路を挟んで向かい側。塘路湖のほとりに建つ環境省の施設である。道内初のエコミュージアムセンターとして1997年10月にオープンした。
この施設は場所が悪く,入館者が少ない。フランスで生まれたエコミュージアム本来の理念からはかけ離れた展示内容で,このような施設にエコミュージアムの名称をさらわれたことは残念である。
塘路湖。知名度は高いが,観光の仕方がなかなか難しい湖である。
郷土館の隣にある宿泊施設つきレストラン。経営不振により今年の1月から休業していたが,6月1日に再開した。玄関の雰囲気からして高級そうでスーツを着ていなければ入ってはいけないような威圧感を感じる。宿泊料金が1人12000円というのも公共の宿としては高い。民間だったら絶対にやっていけないだろう。
レストランは地元食材の提供施設という位置づけで,メニューはどれも1000円以上。ただ800円のラーメン,焼きそば,チャーハンが今回追加されたようである。今日は「塘路湖わかさぎ御前(1200円)」を注文。