北海観光節＞小さな旅行記＞JRとバスで巡るラベンダー先どり紀行
かんのファーム
12時10分，第4目的地のかんのファーム到着。早咲きのラベンダーはつぼみが色づいていたが，見頃はまだまだ。
ここも古くからのラベンダー園で，花の手入れの良さはファーム富田に匹敵する。美馬牛駅からも歩いてすぐの場所だ。
ここでバスは引き返し，ジェットコースターの路を経由して上富良野駅に戻る。
ジェットコースターの路
国道から西11線道路に入ると，すぐにジェットコースターの路である。
運転手さんは目的地に着くたびに，ここは来たことがあるかと聞いてくる。ないと答えるのもわざとらしいので，申し訳なく「あります」と答えるのだが，結局全部行ったことがあるわけで，何のためにバスに乗ったのか不審に思ったことだろう。
前方ばかりに気をとられがちだが，この車窓左手の十勝岳連峰もなかなか見事である。
バスは頂上で停車。ここで運転手さんが記念撮影をしてくれる。
展望台ができていた。
車高の高いバスの車窓から見ると，アップダウンがより強調される。
直線道路の行き着くところまで来ると，左に折れて俗称プロヴァンスの道に入る。
国道237号上富良野バイパスから五丁目通りに入り，12時40分上富良野駅到着。
約2時間，たった500円でこれだけ巡れるなら，かなりお得な周遊バスといえるのではないだろうか。
しかし運行する側が旅行者が求めているものを理解していないために，乗る人がいないのは残念である。
ここに書いても仕方がないかもしれないが，旅行者から見た場合のこのバスの課題を書いておきたい。
今年の周遊バスの運行が発表されたのは，6月28日のことで，運行開始日の3日前に知らされても仕方がない。また，この種の定期観光バスは目新しい企画を打ち出すよりも，毎年同じ形で運行することが重要で，ある意味マンネリ化が必要である。JRで運行している富良野や釧路湿原のノロッコ号も毎年同じダイヤで運行されているからこそ，旅行会社も個人観光客も安心して行程に組み込めるのである。その意味で来年以降も同様の形で運行が続けられることを期待したい。
わたしの知るところではこのバスの運行が告知されているのは，上富良野町役場と十勝岳観光協会のホームページに掲載されているほかは，富良野・美瑛エリア内の観光案内所にチラシが置かれているだけである。そのようなことだから，あらかじめバスの情報を知って訪れる観光客は皆無に近く，昨年は上富良野駅前の観光案内所を訪れた観光客を強引にバスに誘っている様子も見られた。しかし，特に列車やバスを利用して訪れる観光客というのは，事前に計画を立ててくるものであり，現地で情報を知ってもなかなか予定の変更は難しいのである。そのため，せめて札幌駅の観光案内所にはチラシをおいてほしいし，田園休暇の観光パンフレットには占冠の村営バスの時刻でさえ掲載されているのだから，この周遊バスの時刻も当然掲載されるべきなのである。
チラシやホームページには「チケット販売及びお問合せ先」として十勝岳観光協会の連絡先が書いてあるだけで，実際バスに乗るにはどうすればよいのか書かれていない。「詳しいことは電話でお尋ねください」という姿勢では，乗りに来るなと言っているようなものである。予約がいらないから「予約不要」と明示すべきだし，乗車券は上富良野駅内の売店で購入できる旨記載すべきである。
なお，公共機関を利用する旅行者は確実性を求めている。もし，バスに乗りに来たのに満員で乗れなかったとしたら，どうにもならなくなるからだ。そのため，定員制で予約不要の乗り物は敬遠される傾向にある。事実，昨年のラベンダー祭りの日は，大型バスを投入して万全の体制で臨んだが，通常よりも乗客が少なかったという。できることなら，メールなどで事前予約を受け付けてもらったほうが，旅行者としてはありがたいのだ。
これは交通機関として致命的な欠陥であるが，十勝岳観光協会のホームページに情報が掲載された際，「午前」「午後」の2便運行する旨しか書かれておらず，唖然とした。これは昨年も同じだった。のちに役場のページからチラシ裏面のPDFファイルがリンクされて，運行時刻が判明したが，なおページ本文には出発時刻，到着時刻が掲載されておらず，これでは乗りに来るなと言っているようなものである。
周遊バスは当然JRを利用して訪れる客が多く，運行時刻も，JRとの乗り継ぎを考慮したものになっている。しかし，今日乗ったところでは，時間にかなりルーズであるという印象を受けた。運転手さんの言われるままに動いていたら定刻に着きそうもなかったので，途中からはわたしのほうから見学時間を5分ずつ切り詰めてもらうように申告したのだが，それでも上富良野駅到着が5分遅れた。これがもし外国人観光客がたくさん乗っていたとしたら，集合時刻を伝えることもままならず，大変なことになっていたのではないか。ホワイトボードに集合時間を大きく書いて示すなど，定時運行に努める工夫が必要なのではないか。