今晩は北海道三大あんどんまつりの一つされるしれとこねぶたが運行される。約200年前に北方警備のため津軽藩士が斜里に入地したのが縁で,昭和58年に弘前市と友好都市の盟約を結び,同年からねぷたが運行されている。
19時23分,先陣隊が見えてきた。
大太鼓の迫力はなかなかだったが,笛の音がするのに,どこを見回しても笛の奏者がいない。実は,笛の音はスピーカーから聞こえてくるテープの音だったのだ。
あまりにも滑稽で笑ってしまった。所詮は北海道の祭りである。つまり,何でも安直に機械に頼るのが北海道の特徴で,初詣の神社では雅楽団もいないのに胡散臭い越天楽が大音量で流れ,墓参りもラジカセからお経を流すありさま,葬式のお経までテープで済ましているところもある。本来は笛や太鼓で奏でるべき祭り囃子も,テープの音で済ますのが北海道の祭りである。
続いてやってきたのは銅拍子を激しく打ち鳴らす集団。銅拍子はよいが,ヨサコイ特有の暴走族カラーのひな壇に女性が大股開いて座り,品も何もない。最悪だ。
あんどんはそれなりのものだが,各梯団には決まって一人,拡声器を担いでヤーヤードーとわめいている男がいる。本人はいい気分になっているのかもしれないが,どんなに勇ましい男でも,拡声器を使ったとたんにまぬけになる。男だったら素手で勝負しろといいたい。
何が北海道三大あんどんだ。北海道の祭りの悪いところを全部集めた祭りではないか。こんな祭りを見るために,大枚をはたいて知床まで来たのかと思うと,悔しくて泣けてくる。
ところが,あんどん行列が進んでいくうちに,この祭りの違う一面に気がついてきた。
北海道の祭りとしては珍しく,笛や太鼓を演奏する人達が現れた。
はじめは弘前からの援軍に頼んで演奏してもらっているのかと思ったが,各梯団に演奏部隊がついているところを見ると,地元の人が演奏を担っているようである。学校関係では浴衣を着た子ども達が,各種団体や町内会関係では奥様方や旦那様方が頑張って演奏している。
これはすごい。北海道にも自分たちで笛や太鼓を演奏する祭りがあったのだ。さすが北海道3大あんどん祭りと称されるだけのことはある。
あんどんは基本的に弘前系の扇ねぷただが,型にとらわれず,舟や恐竜の形をしたものがあるのもほほえましい。最近は恐竜の口から煙を吐き出すねぷたがはやっているらしい。
最後に登場した高さ8メートルの「大ねぷた」
あんどん行列は役場を出発して駅の外れに達し,今度は同じ道を引き返していく。帰りはいくぶん哀愁を帯びた囃子言葉に変わり,一段と趣深いものになった。
猫やうさぎのあんどんも帰っていく。