北海観光節小さな旅行記島サミットまであと6日

島サミットまであと6日 その2 国境トマム

2009年5月15日

9時12分発,占冠営林署前行きバスに乗車。

この路線は道南バスが昭和42年にホロカトマム〜落合間に路線を開設したのが始まりで,同46年に村営バスに引き継がれ,同48年に起点が占冠本村となった。占冠〜幾寅間を乗り通すと60km弱となる長距離路線である。

落合駅前から国道38号線を帯広方面に進むと,間もなくトマムへの道が分岐する。

トマムへは根室本線と石勝線と何度も交差しながら進む。この道は往時には日に馬が500頭も往来したという街道で,馬車が縦に並んで渋滞したこともあったという。

石勝線串内信号場を通過。

正面に見える高い山が石狩・胆振国境,狩振岳である。ここから10kmと離れていないところに,日高と十勝の国境も接している。トマムは4つの分水嶺が集中しているという,全国でもまれな国境地帯で,古記録にはこうある。

斗満原野ハ胆振,石狩,日高,十勝ノ四国攅峯ノ間海抜千七百尺漸クニシテ一路深林ヲ穿チ源流ニ達シ転歩一望何ソ料ランヤ是レ雲烟去来ノ絶巓ニ非ズシテ十里平蕉ノところ木標一本悠久ニ国郡ノ境ヲ劃断セリ
低徊停望方位ヲ度リ実線茲ニ中リ太平洋と日本海ト一雨再ビ会セズ百川ノ水茲ニ分ルルノ所タルコトヲ意識スル時身ハ是レ雲路天衢ニ立ツノ感転タ禁ズルコト能ハズ(「占冠村史」p.440)

念のため付け加えておくと,占冠村は国郡制では胆振国に属するが,北海道支庁制のもとでは明治39年に室蘭支庁から上川支庁に編入されており,行政上は旭川にある上川支庁の管轄となる。

石狩・胆振国境を越える。畑を焼く煙が目に入って涙が流れると,右の目の涙は日本海へ,左の目の涙は太平洋へ行くと開拓者が言ったように,非常になだらかな分水嶺である。古記録に出てくる国標は今はなく,駅逓跡の碑だけが建っている。

道東道のトマムIC入り口。現在道東自動車道はトマムIC〜本別IC間が部分開通しており,夕張IC〜トマムIC間は目下建設中である。

上トマム市街。サミットに向けてか,道路がきれいに舗装されていた。トマムには上トマム,中トマム,下トマム,ホロカトマムという4つの集落があったが,現在集落として残っているのはこの上トマムだけである。

上トマムの交差点にはサミット歓迎の大形看板があった。そのほか街灯にも歓迎の旗が掲げられていた。これらは「占冠村住民会議」が設置したものである。

上トマムの交差点を直角に曲がると,正面にザ・タワーが見えた。サミットの参加国の多くは,赤道周辺の国々である。当日まだ山に雪が残っていれば,国賓の方々にも感動してもらえるだろう。

9時31分,トマム駅前到着。

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