7月17日は,ねむろ港まつりの千人踊りを見に行った。もし17日の夜,釧路に宿が取れれば,翌日の始発で釧路を発って,三笠の北海盆唄全国大会を見に行くつもりだったのだが,あいにく釧路市内に宿が取れず,厚岸に泊まることになったため,翌日の時間が半端になってしまった。
そこで,久しぶりに弟子屈を訪ねてみることにした。弟子屈では7月17日から,町内の観光名所を周遊するバスが運行されている。特段の目的もない,久々の気ままな一人旅である。
弟子屈町市街のはずれにある摩周駅に到着。
7月17日から10月11日までの臨時バス運行期間中,摩周駅と川湯温泉駅に「えこパスステーション」が設けられ,2日間町内の路線バスが乗り放題の「弟子屈2daysえこパスポート」を販売している。
駅前には摩周湖第1展望台行きの摩周湖バス1便と,阿寒湖畔行きの阿寒・摩周号が停車していた。
昭和40年代の道東観光ブームの雰囲気を残していた「阿寒パノラマコース」のバス路線が廃止されてしまったのは残念だが,こうして季節限定ながらも,より便利な形でバスの運行が継続されることになったのは,ありがたいことである。
バスは4名の観光客を乗せて発車。私のほかは,たまたま摩周駅で降りてバスの存在を知った人たちのようである。
バスには町民ボランティアのガイドが乗車し,詳しく説明をしてくれた。
第3展望台へはジャンボタクシーへ乗り換えとなる。なぜバスを直通させないのかと思ったら,第3展望台にはバスを停めることのできる駐車場がないからだという。
結局,摩周駅からの4名の乗客は,ガイドさんに促されて全員タクシーに乗り換えた。第3展望台では15分ほど見学時間があり,折り返しのタクシーで第1展望台に引き返したあと,さらに40分後に川湯温泉行きのバスに接続するという巧妙なダイヤが組まれている。しかし,目的地に向かう過程でいったん戻る行程というのは,なかなか理解しがたいようで,どこに連れて行かれるのかと落ち着かなさそうにしている乗客もいた。
第3展望台到着。天気予報は雨だったが,予想外の好天で,屈斜路湖のほうまできれいに見えた。
摩周湖の魅力の一つは,道路から直接湖面を見ることができず,少し歩いて丘を登る必要があるということにあると思う。
そして,湖面が見えたときには誰もがその美しさに息をのむ。バスはどこへ行くのかと心配していた観光客も,何はともあれ満足しているようだった。
タクシーは定刻より2分早発した。先ほど乗ってきた4人以外に乗客がある可能性はほとんどないとは思うが,運行時間にはけっこうルーズな感じなので,この先用心しないといけない。
3連休とあって,駐車場にはびっしり車が停まっていた。摩周湖のマイカー帰省は2007年と2008年に実験が行われたが,結局本格実施には至っていないようである。
第1展望台からもきれいに湖が見えた。
以前来たとき,展望台のお土産屋で数十万円もする木彫りをたくさん売っていて驚いたが,今日はそれらがめちゃくちゃに値引きされておりまた驚いた。108,300円の木彫りに18,000円の赤札がついているなど,8割引以上の商品もあった。どうしたのだろうか。
軽食にいももち(200円)と,あっかんべえーののむヨーグルトをいただいておく。
この屈斜路バスは,JR川湯温泉駅を起点に,摩周湖第1展望台と屈斜路プリンスホテルの間を折り返し運転している。屈斜路バスにはレンタサイクルを乗せることも可能である。またはバスの燃料には使用済み食用油から作られたBDF燃料が使用されている。
バスに乗ると,「摩周駅に戻るのでなかったの」と言われた。先ほどのバスのガイドさんに行き先を問われたとき,気が変わるかもしれないので適当に答えておいたのだが,私は摩周湖バスで摩周駅に引き返すことになっていたようで,待っていてくれたらしいのだ。ダイヤに忠実なJRの旅に慣れてしまうとこういう親切が逆にうっとうしく感じるが,迷惑をかけないよう気をつけなければならない。
道道屈指の急カープ,半径25メートルの曲線で川湯へと下っていく。
今度のガイドさんは,ボランティアといってもプロっぽく,踏切を渡るとき,これは旧国鉄,いまのJR・・・と紹介していたのが,古風に感じられて趣深かった。