15分ほど歩いたところでヒグマの越冬穴の説明を受ける。ヒグマの越冬穴は猟師さんでもまず見ることがないという珍しいもので,昨年の秋に写真家の門間さんと市川弁護士が見つけたものだという。越冬穴はここから200メートルほどのところにあるが,さすがに今の時期は危険が伴うということで,近くには行かなかった。
内部は1畳ほどの広さがあり,中からは外部の音が良く聞こえるという。なお,この穴は掘ってはみたものの,その後にまわりの木が伐採されてしまったことから,実際には使用されずに放棄されたものではないかとのことだった。
クマゲラの食痕を見に行く。トドマツは樹齢100年以上と見られ,境界木として切られずに残ったものではないかという。
ヒグマがなわばりを示すために木に爪痕を残す「マーキング」。
したたる樹液,樹皮にからみついたヒグマの毛も生々しい。
歩き始めて1時間,鵡川源頭に到着した。ここでは年間を通じて6℃の水が湧出している。参加者たちは,ササの葉で入れ物を作って水を飲んでいた。
鵡川源流は1999年に「むかわ柳葉魚を語る会」が調査して認定したもの。鵡川のシシャモ漁獲量が1990年頃から急激に減少したことをきっかけに,漁師さんたちが中心となって「むかわ柳葉魚を語る会」をつくり,鵡川上流部での森づくりや川と海の大切さを伝える活動を行ってきた。むかわ町の菅原さんから当時の経緯を説明していただいた。
バスで中央市街に戻り,16時20分,セミナー会場の占冠村コミュニティプラザに到着した。
一昨年から毎年参加しているM君は,昨年のワークショップで見学した道東道の排水溝の改善策として,浄化池の提案をしてくれた。
札幌から参加のS君は,今年スイスの山脇先生のところへ勉強に行った成果として,自転車に楽に乗れるようになるまちづくりの提案をしてくれた。
恒例のスイス近自然学研究所代表の山脇正俊先生による講演。今回はまちづくりをテーマにした話を聞くことができた。ほしいものを実現するために,今あるものが失われるとしたら,それでもやっぱりほしいのかをもう一度問うこと。この視点は非常に重要だと思った。