北海観光節>小さな旅行記>雲海・ガーデンショー・ドライブインの旅
しかし,ここではあえてJRに乗らず,村営バスで落合に出ることにする。トマム線の営業キロは54.9km。村営バスとしては全国屈指の長距離路線であろう。整理券,運賃表示器などなく,ローカル路線に乗ったという実感が沸くバスである。
上トマム市街。トマム駅でバスに乗ったとき,既に高校生が一人乗っていたが,上トマムからさらに高校生が一人乗ってきた。
胆振,石狩国境を越える。いまの行政区画ではどちらも上川管内で単なる町村界に過ぎないが,こちら側に降った雨は太平洋に,向こう側に降った雨は日本海に流れていくのである。
国境を越えればあとはずっと下り坂。バス停は途中南トマム,串内,金の沢とあるが,乗降客を見たことがない。
落合市街に到着。バス停の看板は南富良野町営バスのものである。
落合についてまず向かったのは駅裏のフォーチュン・ベーグルズ。最初に来たときから前回訪れたときまで3年もあいてしまったが,今度は2週間もたたないうちに来てしまった。
店は昼過ぎまで開いているようだが,7時からやっているとなれば,朝早く訪れなければならないという気がする。今日は,公共交通機関で訪れるには目いっぱい早く,8時に着いたのであるが,それでも食パンはもう売り切れていた。この何とも言えない,昔の豆腐屋のような清々しさには,訪れるたび心が洗われるような気がするが,今度来るのはいつになるだろうか。
落合市街を歩いて落合駅に向かう。落合に24時間営業の弁当屋さんがあったのも今は昔。しかし,いまは市街地から少し離れたところにパン屋さんにそば屋,レストランなどいろいろできて,昔とは違う意味で活気に満ちている。
五角形のトイレに,国鉄のコンテナ。落合駅はいかにも国鉄の駅といった雰囲気が残る。
根室本線の下り始発列車で狩勝峠を越える。
新狩勝信号場を過ぎて見える道立畜産試験場の看板は,道総研畜産試験場に掛け替えられていた。畜産試験場のほか農業試験場,林産試験場,北方建築総合研究所など,道立の試験研究機関は2010年4月に地方道立行政法人北海道立総合研究機構として統合された。
広内信号場にて上下の特急列車の通過待ち。朝食が早かったので落合で買ったベーグルをさっそく1ついただく。
9時45分,芽室駅に到着。10時になると時計塔から人形が現れて演奏が始まった。こういうことにお金をかけられた時代も,今では懐かしい。
札幌方面から北海道ガーデンショーを公共交通機関で訪れようという場合,芽室駅からのシャトルバスを利用することになる。
バスに乗ると,当たり前のようにチケットを見せてくださいと言われたので,ぶっきらぼうに持ってないと答えると,年配の運転手さんはこういう割引チケットがあるからと,親切に説明してくれた。バスの往復運賃1,000円とガーデンショーの入場料1,500円がセットで2,000円という「日帰り路線バスパック・チケット」である。もしかしたら帰りはバスに乗らない可能性もあるが,損にはならないので買い求めた。
車内には10名程度の乗客があった。
バスは国道38号線をしばらく札幌方面にさかのぼって羽帯で左に折れ,ちょうど羽帯駅に隣接する踏切を渡った。羽帯から会場の十勝千年の森までは約4kmで,歩いて訪れようかとも思ったのだが,今日は列車の時間が合わなかったので断念した。
しかし,歩くのをやめてよかったと思った。道路は幅の広くない2車線で,結構な量の車が猛烈に飛ばしていくのだ。
バスは本来のアクセス路とは違うところで曲がった。何らかの交通事情によるのかバス会社のサービスかわからないか,のどかな放牧風景を見ることができた。