下徳富からは,この駅に車を置いて下徳富〜新十津川間を往復利用するという地元の人が一人いた。
二人が列車に乗り込むと,あたかも不審者がやってきたかのように見られた。乗客は10名ほどだった。
ホームではたくさんの人に迎えられた。取材もNHK,道新,プレス空知が来ていた。
駅舎内にもたくさんの人。
主催者の方が直々に甘酒を振る舞っていた。
アイスキャンドルに照らされた駅前。
本日は「第2回かまくら祭り」である。4年ぶりの開催で,3月で姿を消す夜の列車をアイスキャンドルを灯して出迎え,送り出す。
今年のプレス空知元旦号は「新十津川駅物語」と題した見開きの特集が組まれていたようである。
ほかにも駅舎内には,いろいろな展示や札沼線に関する資料があった。
賑わう新十津川駅前。何か廃線前の騒ぎのようにも思われるが,線路がなくなるわけではないのだから,これからも年に1度くらいは臨時列車を仕立ててこんなイベントがあっても良いのではないかと思う。
雪だるまとかまくら。
改めて見ると,絵になる駅である。夏には花壇が見事になる。保育所の園児たちによる見送りも名物だ。
こうして新十津川駅が息を吹き返したのは,JR北海道が1995年に一日散歩きっぷの販売を開始したのが大きいと思う。ただ,一日散歩きっぷで訪れる人が増えても,しばらくは寂しい終着駅のままで,地元の人が駅の価値に気付き,今日のように旅行者との交流が生まれるまで20年の時間がかかったのである。その一日散歩きっぷが廃止されるかもしれないというのだから,寂しいことである。
19時22分,石狩当別行きの列車を見送る。
減便は残念だが,決まった以上は,1日1往復となったことでさらに価値が増したというように前向きに考えていくしかないだろう。
滝川駅までは歩こう思ったが,ハイヤーがまだ営業していたので利用することにした。せめてもの経済貢献だ。
運転手さんによると,1月中は列車が新十津川駅に着くたび,20,30人が降りていたという。ハイヤーで滝川に移動する人も多いだろうから,ハイヤー会社にとってはちょっとしたバブルだったのかもしれない。
滝川駅のキヨスクは3月28日で閉店する。出張で滝川駅を利用することが多く,このキヨスクでもたびたび買い物していたので先日新聞報道を見て驚いた。滝川ほどの駅で近くにコンビニもないのにどうしてと思うが,従業員が見つからないという事情もあるらしい。
これで本日の短い旅は終わり。ただ見るだけで申し訳ないような気がしたが,地域の人たちに大事にされている駅を見るのは嬉しいことだった。