北海観光節旅行記モリオカの太鼓

タイマグラ

岳13:00発→荒川13:30着 岩手県交通 早池峰シャトルバス


ハヤチネウスユキソウなど高山植物の花期となる6/13〜8/1の期間,県道紫波川井線は交通規制が実施され,ふもとの駐車場と登山口を結ぶシャトルバスが運行される。


県道紫波川井線。たしかに1.5車線の細い道で,自分の車では運転したくない。バスは他の車がいないのをいいことに我が物顔で飛ばして行くが,こうして後ろの窓から写真を撮っているとカーブを曲がるたびに体が転がされる。


遠野市・川井村界,海抜約1250mの小田越登山口。標高1914mの早池峰山がすぐそこに見える。シャトルバスの運行は今日が最終日のため,山岳パトロールの人たちの表情もさわやかである。

小田越登山口からは登山帰りの客数名が乗車。「お客さん降りないの?」と聞かれた。岳から乗って小田越の先まで行く人は珍しいらしい。そりゃそうだろう。

荒川13:35発→江繋13:50着 岩手県交通早池峰シャトル


荒川にてバスに乗り換える。ここは駐車場があるわけではないので,全員が次のバスに乗り換える。この先の険しさを予感させる小さなマイクロバスである。


「←タイマグラ6km」の文字が見える。そう,わたしはこれからタイマグラに向かうのである。タイマグラは通常バスも通じておらず,車がなければ行くすべもないのであるが,この早池峰シャトルバスによって集落の約2km手前まで到達できるのである。


江繋の駐車場に到着。


さあ,いよいよタイマグラへ向けて出発である。

  
薬師川に沿ってさわやかな県道を歩く。

 
途中で荒川牧場への林道を分岐する。

タイマグラ

まさしく日本のチベットにふさわしい響きの地名であるが,タイマグラはアイヌ語で「水の豊かな森」という意味だという。昭和63年,日本でいちばん遅くに電気が通じたところとされ,日本一の山奥と言われている。

タイマグラには戦後開拓で昭和26年に5戸が入植したが,他の開拓地と同様に高度経済成長期に入ると退散する者が多く,1戸のみが2000年まで残った。その1戸の農家を追った番組,NHKスペシャル「マサヨばあちゃんの天地〜早池峰のふもとに生きて」が1991年に放送され,さらに今年になって映画「タイマグラばあちゃん」が公開された。

  
昭和61年12月竣工のタイマグラ橋。


川井村バンガロー村。

  
何となくニニウによく似た景色である。実際ニニウとタイマグラは境遇が非常によく似ているが,違うのはニニウは明治の開拓地であるのに対しタイマグラは戦後の開拓地であるということだ。またタイマグラには学校がなかった。

 
何かを養殖しているようである。

タイマグラは山奥ではあるが,人の気配はあった。開拓農家はなくなったが,昭和60年代以降移住者があり,民宿などを営んで現在数戸が暮らしているようである。


バンガロー村から500mほど下ったところにあるタイマグラキャンプ場。

 
ここでは数組の家族連れがデイキャンプを楽しんでいた。

散策しているとキャンプ場の管理人さんから「歩いてきたの,どこから?」と問いかけられた。「ここからバス停まで10kmありますよ」と言われたが,「2時間くらい歩けば着くでしょう」と答え,再び歩き出す。

そうなのだ。タイマグラまではシャトルバスのおかげで比較的簡単に到達できたのだが,この先小国のバス停まで10km歩かなければならないのだ。

 
早池峰山荘の脇にあった神社でこれからの道中安全を祈願する。

この先人家もない山道を10kmも歩かなくてはならない。

わたしも駅の間を歩いたりしているのでこれまでにも「乗っていくかい?」と車に声を掛けられたことが何度かあった。その度に「趣味で歩いていますので」と丁重にお断りをしてきた。しかし,今回に限っては乗せてくれる車があったら素直に乗せてもらおうと思っていた。

おりしも歩き始めてまもなく,乗用車が停まってくれたので,あつかましくも国道に出るまでとお願いして乗せていただいた。

宮古にお住まいのご夫婦だった。今日は早池峰に登った後,わたしより1本遅いバスに乗り江繋の駐車場から車で下りてきたとのこと。車の中では北海道から来たこと,北海道にはこんな山奥はないこと,こんな山奥でなくても住む土地はたくさんあること,北海道の道路は立派なのでこういう細い道は珍しいことなどいろいろ話したが,後から考えてみると,地元の人に失礼なことを言ってしまったと反省する。われわれだって東京の人に北海道は何もない,田舎だと言われると気分が悪いものだ。

国道と言ったので106号までと思われたようだが,小国の町を見たいので340号に出たところで下ろしてもらった。こういうこともあろうかと昨日リゾートしらかみの車内で購入しておいたオレンジカードをお礼に差し上げた。

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