北海観光節旅行記あゝ陸の奥幾たびぞ

康楽館

十和田湖12:20発→十和田南駅前13:24着 秋北バス八幡平頂上行き

 

十和田湖と八幡平頂上を結ぶすごい路線バス。


発荷峠展望台。

十和田南駅到着。名前のとおり十和田湖の南の玄関口にあたる駅だが,バスは1日3本のみ。昭和43年の時刻表を見ると休屋行きのバスが14本もある。さびしい限り。

十和田南駅→康楽館 豊口タクシー

JR花輪線が十和田南駅でいったん小坂の方を向いてスイッチバックしていることからわかるように,鹿角地区と小坂のつながりは強いようで,路線バスが毎時1本運行している。しかしバスを待つと康楽館の公演開始時刻に間に合わないので,タクシーを使うことにした。

伊達時代村を思わせる案内人。 明治百年通り

康楽館到着。運賃2890円。2000円程度で来られると思ったのだが,メーターの上がり方が妙に早かった。

後で知ったのだが,豊口タクシーではちょうどこの14時からの公演に間に合うように十和田湖と康楽館を結ぶ相乗りタクシーの定期便を運行しているとのこと。運賃は1人2000円で,これを利用すれば出費が半分で済んだ。

1日3回の行われている常設公演。今年の出し物は「居眠り京四郎〜当世事件帖〜」。

 

この劇場は客席数も多いので連休いえども満席にはならないだろうと踏んでいたが,予想以上に空席が目立った。自由席だというので適当に腰を下ろすとそこは予約席だというので移動させられた。案内が悪い。

14時,照明が落とされ幕が開く。日本調の舞台に小舟に乗った京四郎が現れた。回り舞台がゆっくり動くと船が本当に水に浮いているように見え,演出の美しさに息をのんだ。

しかし全体を通して見て,芝居はあまり良くなかった。面白くないわけではないし,頑張っているのはわかるが,芸に美しさがない。

今日はたくさんのお客さんに来てもらえてありがたいと,しつこいほどに礼を言われたが,これだけテレビや雑誌で紹介されていても場所が場所だけになかなか人は来てくれないのだろう。オフシーズンには北海道からの修学旅行生が主な客になるという。

公演は1時間の予定が20分も延びて15時20分に終了。その後,係りの人の案内で館内を見学した。この案内人がまた変にこなれていて解説が鼻につく。

康楽館は明治43年に建てられた小坂鉱山の娯楽施設。日本最古の現役木造芝居小屋として国の重要文化財に指定されている。

花道にあるせり上がり装置,切穴(すっぽん)。今日の公演でも使われていた。 回り舞台。4か所の力棒を人力で押して回している。

 

楽屋。壁にはここを訪れた役者のサインがびっしり。

客席は和風だが,天井は洋風。電灯は建築当時からあるもので,鉱山の城下町ゆえ明治のうちに電気が使用されていたことを示している。


芝居茶屋。

いくつか面白くないこともあった康楽館だが,何より良いと思ったのは館の内外でずっと小坂音頭が流れていたことだ。松原のぶえさんが「小坂良い町、良いところ―」と朗らかに歌う。案内の若い人に曲名を尋ねたところ「小坂音頭です」と明快に答えてくれたのも嬉しい。北海道でも素性のわからない舶来の音楽なんか流すのをやめて,蕎麦屋でも道の駅でも自分の町の音頭や民謡をかければよいのである。

次へ