北海観光節旅行記あゝ陸の奥幾たびぞ

「アナタノ趣味ハナンデスカ?」

と問われて答えるのに困る。趣味がないわけではない。むしろ並の人よりは多趣味な方だと思う。人に認められなければ気が済まない性格なので,これまで水石,切手収集,大相撲観戦,園芸,と趣味の中でも王道とされるものに携わってきた。ただ,最近は旅行関係のホームページを持ったこともあってこれらの趣味からは遠ざかっている。

それで「趣味は旅行です」。と答えることになるのだが,旅行というのは読書とともに趣味のない人が趣味欄に書く趣味の代表である。趣味のないつまらない人間だと思われるのも嫌なので,いろいろなところに行っていることを説明するが,そうすると今度は遊びに行ってばかりいる遊び人だと思われてしまう。自分の旅行は並の旅行とは違う,と思っても,他人から見れば遊び人なのだ。

実際自分が旅行に行ったからといって世の中が変わるわけでもなく,遊び人という評価は当たっているのかもしれない。ただパチンコなんかに時間とお金を費やすのに比べれば,旅行のほうが幾分ましである,旅行とはその程度のものなのではないか。と,最近旅行について否定的に考えてしまうのであるが,仮に旅行がまったく無駄なものであったとしても旅行に出かけざるを得ないのが人間の本能らしい。

今年の5月連休も暦どおり仕事に出ることにしたものの,やはり旅行に出ざるを得なかった。

はじめは松前や五稜郭の桜を見に行こうと思った。ところが計画しているうちに,3月までいた釧路に比べて札幌は道南に近いことに気づいた。釧路の感覚だと3日間では函館までで精一杯だが,札幌からだと松前や五稜郭に3日間も当てるのは十分すぎて時間をもてあますのだ。宿も混んでいることだし宿がわりにフェリーの夜行便を利用して青森に渡ろう。道南2日+東北1日の旅行だ。

ところが今度は適当なきっぷがないことに気づく。JR北海道では「春の海峡物語〜列車とバスで行く,春の道南・北東北の旅〜」などというキャンペーンを実施しているのにもかかわらず,道南と東北の両方を巡るのに都合の良いきっぷがないのである。結局東北に絞るのが効率的だということで,毎度のことながら「みちのくフリーきっぷ」を利用しての青森・秋田・岩手方面の旅となった。

今回の旅行で使用したきっぷ

桜の季節ではあるが,有名どころの桜は一昨年の旅行で見ているので今回は特に桜にこだわらないことにした。ただ十和田市の桜だけは前回見れなかったのが心残りだったので,今回見に行くことにした。それから最近雑誌で見た小坂の康楽館。あとは昨年ドラマで知って気になっていたたびわこ芸術村。もう1か所くらいと思ってインターネットで連休中のイベントを調べると,5日に天台寺の例大祭があるとこのことだったのでそこにも行ってみることにした。

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