帰りは往路の1便,2便の乗客が合流するため,オールロングシート車1両に満員の盛況だった。
JR福井駅到着。
上り急行列車の発車まで2時間あまり。待合室は改札の中にあるので,京都までの急行券を見せて改札を通してもらう。
はじめ待合室には誰もいなかったが,わたしが入ったところを見られていたのか,ぽつらぽつらと人がやってきた。
まずやってきたのは,世間から少々のけ者にされてしまった感じの老翁。初詣の帰りであろう,背嚢からは破魔矢が飛び出している。おみくじで末吉が出たとか独り言のようにつぶやいている。
次に入ってきたのは,貴婦人の2人連れ。どのような事情があって,高貴な奥様方がこのような時間に駅の待合室にいるのかはわからないが,ずっと2人でささやくようにしゃべっている。
その次は,少年のグループが来た。「ここ煙草吸ってもいいんだよね」と言って,煙草を吸い始めた。いまどき待合室で喫煙できるとは,福井もなかなか心の広い街だと感心していたら,まもなく駅員が来て,煙草を吸うなら出ていくように注意していた。少年達は素直に従っていた。
しばらく目を瞑って,再び目を開くと,待合室はたくさんの人で溢れていた。
A寝台1両,3段式のB寝台4両,グリーン車1両,普通車自由席4両という独特の編成の夜行列車。
自由席は各ボックスに1人以上が埋まる程度の乗車率。わたしは山高帽子を顔にかぶった紳士の向かいに腰掛けた。
京都駅到着。