JR山田線・川内駅。
川内駅は1日の乗降客が数十人という山間の孤駅だが,JR東日本の駅員が勤務しており,窓口は始発列車の発車から,最終列車の到着まで営業している。
北海道では札幌近郊と地方の拠点の駅を除けば,始発から最終まで窓口を開けている駅というのは,わずかに根室本線の厚岸駅があるのみで,まったくこういう駅は全国的に見ても珍しいのである。
というのは,連鎖閉塞方式という非自動の閉塞方式が,どういう事情があってかわからないが,全国でも山田線の盛岡〜宮古間にだけ残り,列車が通過するたびに駅員が手動でポイントを操作しなければならないため,区界,川内,茂市の各駅には駅員が常駐しているのである。
ホームに停まっていた宮古行きの普通列車は国鉄色のキハ52形気動車。山田線は車両が古いためワンマン化されず,全列車に車掌が乗務している。
車掌が笛を吹き,駅員が旗を持って見送る。つい20年ほど前までは,全国どこでも当たり前に見られた光景だろうが,今日こうした光景が見られるのはほとんど奇跡的である。
山田線もかれこれ8度目の乗車だが,紅葉の季節に乗るのは初めてである。川内からもなお万里重山幽谷が続き,閉伊川の紅葉は見事だった。
これで,「お前,山田線の紅葉を見たことはあるか」と聞かれたときには,「はい,あります」と答えることができそうである。
川井市街通過。新里村は昨年6月に宮古市と合併したので,100km以上を走る山田山線で,盛岡市と宮古市の間にあるのは川井村1ヶ村だけということになった。
茂市駅通過。
宮古駅到着。宮古駅は待合い室内の入場改札とは別に,外部に別に出場口を設けるという,国鉄古来の様式をいまだに踏襲している。
宮古は降り立つだけで身が引き締まる思いがする,凛々たる美しさを持った街である。
8度目の宮古。初めて訪れたのが1998年の12月だから,平均して1年に1度は来ていることになる。
宮古魚菜市場に行ってみる。市場の雰囲気は苦手なのだが,なぜかこの市場だけは落ち着いて買い物ができる気がする。港町だが浜言葉ではなく,宮古弁が京都の言葉に似ているということもあるかもしれない。
市場では昆布やわかめを実家に地方発送しておいた。
宮古駅隣のJC。以前から通常のJCの店舗とは異なる品揃えだったのだが,しばらくぶりに店に入ると,完全なお土産屋になっていた。
ここでは,宮古市民に親しまれているという宮古製菓の食パンと,山田町名物の生せんべいを購入した。