2007年12月30日(日)
鳥栖で「あかつき」を下車。列車はここで長崎行きと熊本行きに分割される。鳥栖から熊本方面へは,博多から追いかけてきたリレーつばめにここで先を譲るので,乗り換えて先を急ぐことにする。
リレーつばめにはわずか5分の乗車で久留米下車。
寝台列車で九州に来て,まず最初に訪れたかったところは日田である。
映画「男はつらいよ」の第43作「寅次郎の休日」でのこと。
満男(吉岡秀隆)と泉(後藤久美子)が駆け落ちし,新幹線で日田にいる泉の父親(寺尾聰)に会いに行く。心配するさくら(倍賞千恵子)と博(前田吟)に対し,「美しい恋をしていれば1か月ぐらいメシなんか食わなくたって平気だ」と強がって寅(渥美清)だが,そこに泉の母親礼子(夏木マリ)が訪ねてくると途端に気が変わり,2人で満男と泉を追いかけることに。
2人は博多行きの新幹線最終便には間に合わず,寝台列車で日田を目指した。乗った列車は今はなき「みずほ」だと思われるが,久留米で九大線に乗り換えて日田に向かったのである。
今わたしは寅さんと同じルートで日田を目指している。
まだ真っ暗だが,人の姿も増えてきて朝らしくなってきた。
クロスシートとロングシートが片側に並ぶシート。車端には立派な液晶式の案内装置が取り付けられていた。
日田彦山線が分岐する夜明駅を通過。ここから大分県に入る。
日田到着。
豆田町界隈。江戸時代には徳川幕府の天領だった日田は裕福な町だったそうで,立派な構えの商店が並んでいた。右写真の足場のかかっている店が,ちょうど泉の父親が再婚相手の幸枝(宮崎美子)と住んでいた薬局だ。
観光スポットにもなっている草野本家。このあたりも映画に出ていた。
久大本線を渡り,隈町界隈,日田温泉街へと入る。この辺は日隈城の城下町として開かれたところで情緒にあふれていた。
日田は水郷でもあり,湖のような三隈川には屋形船がたくさん浮かんでいた。
寅さん・礼子と満男・泉が再開を果たした場所。満男たちを追いかけてきた寅さんらが,まさにここで満男たちと再開し,お互い抱き合って喜んだのである。
昔ながらの扇風機の付いた列車で先に進む。
天ヶ瀬到着。
天ヶ瀬温泉でもロケが行われた。寅次郎・礼子と満男・泉は家族になすまして温泉旅館に泊まり,幸せなひとときを過ごした。映画では赤い欄干が印象的だった天ヶ瀬橋は掛け替えられていた。