11時40分頃,人吉市街に到着。列車の時間まで1時間と少しあるので温泉に入っておくことにした。
共同浴場の場所は五木を訪ねる前に駅の観光案内所で聞いておいた。係りの人は営業時間を暗記しており,地図にすらすらと9箇所の温泉の営業時間を書いてくれた。こういう場合に観光案内所はけっこう使えるものだと思った。
中に「レトロ」「かなりレトロ」と注釈が入った温泉があったのがおもしろかった。レトロといえば聞こえはよいが,要は覚悟して行けということである。
人吉温泉
今日はその名も「人吉温泉」という共同浴場にした。中でかがむと頭が埋もれてしまう深い湯船に,とろりとしたお湯が掛け流されており,大変気持ちが良かった。
このすぐ近くに青井阿蘇神社があったのだが,あえて年が明ける前にお参りすることはないと思って参拝を省略した。ところがその後ニュースでこの神社が国宝に指定されるになったと知り,参拝しなかったことを後悔した。
市街には「SL復活」という幟がたくさん立っていた。まだ2年先の話だというのにずいぶん気合いが入っている。
五木の物産館が閉まっていたので,人吉駅前のお土産屋で子守唄人形を買っておいた。
人吉から吉松までは,レンタカーを人吉営業所で返却した後,鹿児島空港行きの高速バスを利用する予定だったが,バスで五木を往復することになると逆に「いさぶろう3号」に間に合うので,昨日豊後森駅で指定席券をとっておいた。
いさぶろうというので,この辺は式守伊三郎の出身地なのかと思ったら,肥薩線建設当時の逓信大臣山縣伊三郎から名を取ったそうだ。上り列車は「しんぺい」と名を変えるが,これは開業当時の鉄道院総裁後藤新平に由来する。ずいぶん昔のことを大事にしているものだ。
ホームでは駅弁の立ち売りがあった。この道37年というベテランの売り子さんだそうで,姿勢を正して声を張り上げ,列車の横を何度も行ったり来たりする姿には感銘を受けるものがあった。
大畑駅
いさぶろう号は吉松まで各駅に5分間ずつ停車し,見学時間を設けている。
もともとが急勾配の途中に設けられた信号場のような駅で,北海道でもなかなかないくらいひっそりとした駅前風景だ。
肥薩線はもともと鹿児島本線として開通しただけあって,駅舎やホームには本線の風格を感じることができる。
大畑駅は3段スイッチバックなので,いったんバックして引き上げ線に入った後,また進行方向を戻してループ線に入る。
ループ線なので,いま通ってきた線路を眼下に見ることができる。
矢岳駅
肥薩線の駅の中では最も標高が高く海抜約537mに位置する。
熊本県もいちばん南まで来たが,雪が降っていたのには驚いた。
SL展示館も見学することができた。