北海観光節旅行記九州吹雪

吉松駅弁

矢岳13:54発→真幸14:09着 肥薩線 いさぶろう3号

宮崎県に入り,矢岳〜真幸間の眺望は日本三大車窓の一つに数えられる。晴れていれば霧島連山とえびの盆地を見渡せるはずだが,今日は京町温泉がかすかに見えた程度だった。

真幸駅

ここも3段スイッチバックで,長い島式のホームが印象的だ。

開業当時からの駅舎は地元住民に活用されているようだった。

 

山津波記念石と幸せの鐘。

真幸14:14発→吉松14:24着 肥薩線 いさぶろう3号

ようやく終点が近づいてきた。つばめレディが大型時刻表を持って乗り換え案内に回っていたのが珍妙に感じられた。九州版の時刻表では用が足りないのだろうか。

吉松駅

吉松駅到着。2000年3月以来,2度目の下車である。

前回は18時過ぎに着いて人吉に引き返したのだが,コンビニで弁当を買って列車に戻ると,日も暮れたホームで駅弁の立ち売りがあったのだ。わたしは残酷にもコンビニのビニル袋を下げて,立ち売りのおじさんの前を通り過ぎてしまった。ほかに旅人もおらず,わたしが駅弁を買わなければ誰も買う人はいないのは明らかだった。しかし,当時学生だったわたしには,弁当を買ったばかりなのにもう一つ弁当を買うだけの余裕はなかった。

そのことをこの7年間,ずっと後悔してきたのである。ときおり,インターネットで吉松駅の駅弁を調べてみたが,情報は見あたらず,もしかしたらあのときのわたしが駅弁を買わなかったがために,駅弁屋さんが廃業してしまったのではないかと後悔した。

 

ところが,駅弁の立ち売りは健在だったのである。夢かと思った。今日も人吉駅の弁当を食べたばかりだったが,今回は躊躇することなく駅弁を1つ求めた。7年越しの罪滅ぼしをした気がした。吉松駅に来て本当に良かったと思った。

吉松14:28発→嘉例川15:02着 肥薩線 隼人行き普通列車

引き続き肥薩線で南へ向かう。

大隅横川駅にはタブレットキャッチャーが保存されていた。

嘉例川駅

嘉例川駅到着。

 

明治36年開業当初からの駅舎は国の登録文化財に指定されている。

 

JR九州では列車とバスで霧島温泉,妙見温泉,栗野岳温泉を巡る「天降川温泉峠」キャンペーンを実施していた。嘉例川駅は妙見温泉へのアクセス駅となっている。

列車に合わせて「温泉バス」も運行しているのだが,このバスは「温泉パスポート」をあらかじめ購入しなければならない。しかし購入しようとしても嘉例川駅前の販売所となっているふれあい館は日曜しか営業していないのだ。

案の定,バスの乗客は皆無で,妙見温泉に向かおうとしていた2つのグループはやむを得ずハイヤーを呼んでいた。補助金が入っているので別にお客さんが乗らなくてもかまわないのかもしれないが,こういう殿様商売をしているとかえって温泉地のイメージを落とすのではないか。

嘉例川15:37発→隼人15:50着 特急はやとの風3号

特急はやとの風は嘉例川駅に5分停車する。車両も鈍足で有名なキハ40形気動車の改造で,恐らく日本でもっとも特急らしくない特急だろう。

JR九州に来るとJR北海道と酷似した企画が多いことに気づく。つばめレディとツインクルレディなどもそうだが,「はやとの風」に対抗して「オホーツクの風」という特急列車が北海道にある。調べてみると「はやとの風」のほうが登場が1年早いから,これもやはり北海道が九州をまねたのだろう。

次へ