北海観光節旅行記東日本縦断旅行

かっぱ寿司

阿久戸,白岩の集落を抜け,湯野上温泉へはあと2キロあまり。

道路は杉林に入った。この道は高陦(たかしま)街道と呼ばれ,かつての日光街道の一部だという。

湯野上温泉街。

 

茅葺き屋根の会津鉄道・湯野上温泉駅。大内宿へのアクセス駅でもある。

湯野上温泉13:37発→会津若松14:20着 会津鉄道・JR只見線 会津若松行き普通列車

 

この列車もまた混んでいて座れなかった。身なりから,多くは帰省の人たちだと思われた。例えば浅草→会津若松は,この列車を利用するとして所要時間5時間10分,運賃4540円。一方,同じ時間帯で東京〜郡山間新幹線利用だと,東京→会津若松は所要2時間48分,運賃・料金計9220円。時間が倍かかっても,安い方を選ぶ利用者は少なくないということだろうか。

会津若松14:33発→新津17:10着 磐越西線 新潟行き普通列車

会津鉄道から乗り換える人はさすがに少なかった。遅れて到着した郡山からの快速列車からどっと乗り換えがあり,車内はまた混雑した。

阿賀川の幽谷を抜け出し,久しぶりに開放的な平原が車窓に現れた。

大方の乗客は喜多方で降り,ようやくのんびりとしたローカル線の旅が楽しめそうである。

喜多方から先の磐越西線は,今回初めて乗る。車窓にはずっと阿賀野川が寄り添い,なかなか良い景色の路線だった。

列車は各駅で帰省客をぱらぱらと下ろしていった。尾登駅では,青春18きっぷの赤券を持った少年が2人下車した。

津川駅で7分間の停車。列車の時間待ち調整で,見知らぬ駅のホームに降り立つのは,旅愁をかきたてるもの。

「狐の嫁入り行列の似合うまち」とあった。一見よくわからないキャッチフレーズもまた,旅情を誘う。

新潟県に入る頃には,すっかり日も暮れた。北五泉駅からは,雷光が激しくなり,たびたび空が白くなった。

新津駅到着。

今日の夕食を予定しているかっぱ寿司へは,歩いて10分程度だが,雷がひどかったのでタクシーに乗った。

かっぱ寿司新津店。

かっぱ寿司という回転寿司店を知ったのは,昨年の12月,ちょうど妹の誕生日の翌日のことだった。その日,東北で勉学中の妹を訪ねて食事をした。大学の友達は誕生会をやってくれたのかと聞くと,やってくれたという。どこでやったのかと聞くと,「かっぱ寿司」だと言った。

かっぱ寿司。こんなに日本情緒あふれる名前の回転寿司があるのかと驚いた。北海道の回転寿司といえば,「ちょいす」「トリトン」「とっぴー」など,およそ日本情緒とはかけ離れた名前の店が多い。

調べてみると,かっぱ寿司は全国区の回転寿司店で,北海道には進出していない。北海道に進出していないのはどんな事情があるのか知らないが,そもそも北海道で「かっぱ○○」という店の名前はあり得ないと思う。

極言すれば,日本にありながら,日本であることを許されないのが北海道である。かっぱ寿司が北海道にないのはその象徴であるような気がする。私は,北海道人であるとともに,日本人として生まれたことも大切にしたいと思っている。それゆえ,たまに北海道を抜け出して,日本人であることを確認せざるを得ないのだが,「かっぱ」という響きに,日本人として何とも言えないいとおしさを感じ,今年最後の食事はかっぱ寿司で締めくくることにしたのである。

店内は混雑していた。大晦日の夜といえば,家族揃って年越しそばを食べるもの。いまの時間に出歩いているのはやくざ者しかいないだろうと思っていたので,この混雑はまったく意外だった。

ただいまの待ち組数,なんと48組,1時間30分待ち。

これは,待っていられないので,残念だがかっぱ寿司は引き取ることにした。

雷がひどいのでまたタクシーを呼んで駅に戻った。

新津18:05発→新発田18:34着 羽越本線 新発田行き普通列車

 

さすがに大晦日のこの時間に電車に乗る人は少なかった。

結局,誰もいない車内で,コンビニで買った弁当を食べるという,大変みすぼらしいことになった。

新発田18:45発→村上19:20着 羽越本線 村上行き普通列車

新発田は雷の直下で,雨も激しく降ってきた。車内にいれば安全とわかっていても,落ち着かない。それでも電車はきちんと走ってくれた。

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