1時半に大神神社を出発した松明は,十八社巡り(現在は十九社)を行う。しかしWeb上の旅行記などを見ても,全部ついて回ったという人はいないようだし(たいていは途中で引き離されている),一旅行者が付きまとって場を汚すことになってはいけないので,先回りをして,要所要所で陰から見学することにした。
1時27分,太鼓を先導に,御神火が到着。
神官が祝詞を上げる。
5分の滞在ののち,ワッショイワッショイの掛け声で行列は先へ進んで行った。
松明からこぼれた火には,御利益があるという。拾って缶に入れて持ち帰る人もいた。
参道には,甘味処やお土産屋さんが点々とあった。
磐座社,狭井神社,貴船社を抜かして,
桧原神社までの道は山辺の道と呼ばれる古道で,石畳の道が続いている。
道は真っ暗だった。そんな中でも,桧原神社に向かおうという同志はいた。私を含め男性2人と,女性2人。
時折,互いに携帯電話で行く先を照らしながら,小走りで行く。
後ろからは太鼓の音が迫ってくる。「間に合うかしら」と聞かれたので,まだ途中の神社に寄るはずなので大丈夫ですよと答える。
しかし,上り坂に差し掛かると,同志のスピードは落ちた。この神聖な場所で抜け駆けはいけないと思いつつ,間に合わなければ元も子もないので,先を行かせてもらった。
2時25分,桧原神社到着。広々とした境内は,きれいに掃き清められていた。
この神社は三輪山中の磐座をご神体としており,本殿も拝殿もない。
知らなかったが,現在伊勢神宮に鎮座している天照大神は,第9代天皇のときまで,それぞれの皇居で祀られていたのだという。それが,第10代崇神天皇のとき,豊鍬入姫命に託して天照大神が皇居から遷されたのが,この桧原神社だという。大変な由緒だ。
先ほど,真っ暗の山の辺の道で一緒だった撮影隊らしき女性2人が私を探し出し,携帯電話で道を照らしてくれたことのお礼を言われた。見ると大神神社の腕章を付けていたので関係者だったようである。初めてなのに関係者に「間に合うはず」と言ってみたり,結局抜け駆けしたり,大変申し訳なく思った。
2時31分御神火が見えてきた。一行は山の辺の道ではなく,神社から西にまっすぐのびる参道を上ってきた。
桧原神社では,火が新しい松明に移し替えられる。
境内の豊鍬入姫宮社。1986年に創祀され,十八社巡りに加えられている。
ここからしばらく,行列に付いて行ってみる。この時点で,一般の参拝者で付いて回っているのは十名足らずだった。
坂を下りるときは比較的ゆっくりだったが,平坦な道に入ると俄然スピードを上げて駆けて行く。
住宅街に入る。
富士社,厳島社。
時刻は3時を過ぎた。列車の時間が4時2分なので,そろそろ先を急がなくてはならない。御神火の行列とはここで別れて,先ほど抜かした狭井神社に戻ることにした。