大宮ではレターパックがポストに入らないという,思わぬ出来事があったが,埼京線の事故の影響で列車が5分遅れていたこともあり予定の列車に乗ることができた。
車内は混んでおり,1時間近くたって本庄駅でようやく座れた。
明日は,尾瀬の散策を予定しており,今晩の宿は,老神温泉に取っている。
大きなリュックを背負った人が多く,それらしい雰囲気になってきた。
今日はまだ夕食を取ることができていない。明日もいつ食料が手に入るかわからないので,高崎駅でおにぎりやパンを買い込んでおいた。駅の売店ゆえ,体に悪そうなものしかない。
沼田駅到着。登山家の人たちはみんな降りるのかと思ったら,誰も降りなかった。
意外とさびしかった沼田駅前。食堂が1軒営業していたが,食べるほどの時間はない。
下り列車から乗り換えたのは一人旅の女性と私のみ。その後,上り列車から宴会帰りと見られる青年がどっと乗ってきた。
バスは駅前を発つといきなり急坂に差し掛かり,車窓に夜景が展開した。沼田の市街は段丘の上にあるのだった。
郊外店が連なる国道120号を行く。
30分あまりで大原老神入口に到着。
老神温泉まで乗り入れるバスもあるが,この時間はこのバス停から歩かなければならない。「○○入口」という名のバス停は,たいてい○○まで相当歩かなければならない。
かなり暗い道を延々歩く。暗闇に聞こえる川の音というのは気味が悪いもので,もう歩きたくない。
15分ほどで温泉街に入った。
旅館も十数件はある模様。
スナックや土産屋も何軒かあった。しかし,食事ができそうな店はない。
鉄筋コンクリートの大きな温泉旅館もあったが,どうもあまり活気があるようには見えない。シルバーウィークの中日だというのにどうしたことか。
赤城神社。懸崖造りで,急な階段を上ったところに社殿がある。
赤城神社社殿と薬師堂。
本日の宿,楽善荘。
今日最後の客だったのだろう,名前も聞かずに部屋に通された。
「車はどこに」と問われ,歩いてきたというと,「えーっ」と,大声で驚かれた。一昨日の肘折温泉でも同じだったが,路線バスで温泉を訪ねるというのがそんなに奇特なことだろうか。
明日はどこへと問われて,尾瀬に行くと答えると,バス停の位置など親切に教えてくれ,尾瀬の地図もくださった。
尾瀬の代表的な里湯とされているものの,話しぶりから察するに,尾瀬に行くのに老神温泉に前泊する人はそう多くはなさそうである。
温泉は源泉かけ流しで良かった。
2015年9月22日(火)
6時15分,宿を発つ。せっかく温泉宿に泊まったのだから,もっとゆっくりしたいという気もないわけではない。
老神温泉では冬以外毎日朝市が開催されている。
肘折温泉と比べると洗練されており,つくりたての餅やパンもあったが,どうもこれから尾瀬に持って行くのに良さそうなものはなかった。
お父さんでもないのに「お父さんおいしいもの揃ってるよ」などと声をかけられたのを心の中の言い訳にして,何も買わずに朝市をあとにした。
朝市会場を囲っていた回廊には,ギネスにも搭載されたという大蛇みこしが展示されていた。賽銭箱があったので,朝市で使う予定だったお金はこちらに入れておいた。