2020.5.4全面改訂(2001.3.9海峡線として新規作成)
北海道新幹線
北海道と本州が1988(昭和63)年にトンネルでつながり,28年間の「津軽海峡線」の時代を経て,2016年北海道新幹線が開業した。新幹線こそ途中の駅で降りて,奥深い津軽半島や松前半島を観光してみたい。
北海道新幹線の概要
●歴史
1946(昭和21)年運輸省内に非公式の津軽海峡連絡隧道調査委員会が設置され,1949(昭和24)年龍飛崎~白神岬間のルートを選定。1954(昭和29)年洞爺丸海難の大惨事が起こったことから,本格的にトンネル建設へと動き出した。1971(昭和46)年工事線となり着工。異常出水などがあり工事は難航したが,1980(昭和55)年に作業坑と先進導坑が,1986(昭和61)年3月には本坑も貫通した。工事には6900億円が投じられた。
青函トンネルを含む海峡線は新幹線規格で建設されたが,トンネル建設中に交通事情が変化して暫定的に在来線を通すことになり,本州側の津軽線,北海道側の江差線を電化,改良のうえ接続し,1988(昭和63)年3月に開業した。青森~函館間は津軽線,海峡線,江差線,函館本線の4線区からなり,これらを総称して「津軽海峡線」という愛称が付けられた。青函トンネル開業と同時に1909(明治42)年以来の歴史を持つ青函連絡線が廃止された。同年,青森,函館の両市において青函トンネル開通記念博覧会が開催され,会期中は連絡船の復活運航が実施された。
1991年3月,特急はつかりが在来線最速の時速140km運転を開始。1998年3月,快速海峡がドラえもん海底列車として運転開始。 2002年12月東北新幹線八戸延伸に合わせて急行はまなすを除く海峡線の全列車が特急化された。
東北新幹線は2010年12月新青森までの全線が開業。北海道新幹線は東北新幹線を延伸する形で2005年に着工,新青森~津軽今別間,木古内~渡島大野間で新線の建設が行われ,既に新幹線規格だった津軽今別~木古内間と接続し,2016年3月26日新函館北斗まで開業した。
●車窓
新青森から津軽半島の田園を北上,長いトンネルに入るが青函トンネルはまだ先。奥津軽いまべつ駅を過ぎて,右にトンネル入口広場が見えるといよいよ青函トンネルに入る。在来線の海峡線との共用区間は三線軌条で,貨物列車とのすれ違いもあるため,速度を落として進行する。53.85kmのトンネルを抜けると湯の里知内信号場通過,さらに7つのトンネルを経て,木古内に到着する。またトンネルに入り,右に函館山が見えてくれば終点・新函館北斗は近い。車窓は新函館北斗に向かって右側が良い。
●運行系統
早朝,夜間帯に仙台,盛岡,新青森発着の系統が各1往復あるほかは,東京~新函館北斗間の運転となっている。列車名は仙台以遠発着の系統が「はやぶさ」,盛岡,新青森発着の系統が「はやて」となっている。新青森,新函館北斗には全列車停車するが,奥津軽いまべつ,木古内は停車しない列車がある。
全列車全席指定だが,北海道新幹線内では普通車の空いている席を利用できる「特定特急券」の利用が可能で,この区間では満席になることがめったにないので,特定特急券で問題なく利用できることが多い。また,青春18きっぷでも「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の購入で奥津軽いまべつ~木古内間を利用可能,北海道&東日本パスでは特定特急券の購入により新青森~新函館北斗駅の利用が可能であるなど,特例も設けられている。
●利用状況
快速海峡の時代には青森から函館まで立たされることも珍しくなかったが,新幹線になってからは特定特急券でも問題なく座れることが多い。一方,割高な新幹線を敬遠してフェリーを利用する旅行者が増えており,フェリー昼行便の良い席は満席になることがよくある。
●車両
JR北海道のH5系とJR東日本のE5系が10両編成で使用されている。いわゆるフル規格の新幹線車両で,盛岡以南でミニ新幹線の「こまち」を連結することが多い。最高速度は盛岡以南が時速320km,以北は時速260kmである。青函トンネル前後の在来線との共用区間は,開業当初最高時速が在来線時代と変わらない140kmに制限されていたが,2020年時点で時速160kmに引き上げられており,今後も速度向上が行われる見込みである。
以下は過去の津軽海峡線の車両。
それでは,北海道新幹線各駅停車の旅をお楽しみください