室蘭本線

礼文 れぶん 無人駅
虻田郡豊浦町字礼文華
昭和3年9月10日開業
標高5m  116人
3線
長万部より23.6キロ
小幌より6.1キロ
2000.11.4乗車

●小幌→礼文の車窓

延長2726mの礼文山トンネルで礼文華峠を越えると,ややひらけた礼文華の集落に出る。線路右手の道は旧礼文華山道に続く道路。静狩峠・礼文華峠は蝦夷三嶮の1つといわれ,文化3年に幕府により礼文華山道が竣工。激しい屈曲を描く歩行道で,旅人は森〜室蘭の船便を利用せざるを得なかった。本格的な改修が始まるのは昭和37年で,昭和40年に現在の国道が完成した。

●礼文駅

駅舎は1989年に建てかえられたこぎれいな建物で,雑誌なども置かれている。旅客列車が停まる3本の線路の他に側線がある。駅からも見える山からバラストを掘り出し,ここから積み出していたようだが,現在も使用しているのだろうか。
礼文華は単に地形が険しいだけではなく,地質も保線泣かせである。そういう山々が発しているのだろうか,この駅に降り立つと鬼気迫るものを感じる。
駅周辺は漁業集落で,店が数件に郵便局や消防もある。夏休みはキャンプ,海水浴の若者や釣り客で賑わうが,オフシーズンは非常に静かなところ。

●見どころ

□礼文華海岸

駅前の道路を左に徒歩10分。

駅からしばらく歩くと礼文浜トンネルの入口がある。1999年11月28日,トンネル内でコンクリート片の落下し,6日間にわたって線路が不通になるという事故があった。2000年5月,そのトンネル脇に「トンネルの安全を誓う碑」が建立された。
 


礼文浜トンネルの入口を過ぎると断崖絶壁の下を行き,海岸には奇岩が連なる。岩手県宮古の浄土ヶ浜に少し似ているが,浄土ヶ浜が天国の風景だとすれば,礼文華は地獄に見える。この道路は国道37号の旧道にあたり,写真右手の荒れた路盤が室蘭本線の旧線跡である。道路が落石で通行止めになっていたこともあり,初めて訪れた時はここで引き帰してしまった。しかし,ちょっとの怖さを辛抱して前へ進めば,さらに見どころは続く。
 


文学碑公園は礼文華の断崖を通り抜けたところにある。礼文駅から徒歩20分。昭和62年に造成された北海道初の文学碑公園で,室蘭本線の旧線にあたる長輪線をテーマとしている。歌碑が建てられている斉藤茂吉や与謝野鉄寛・晶子の作品はみな長輪線の列車の車窓を描いたものである。ロマンチック海岸と呼ばれるこの辺りは,人の気配は薄いがなぜかロマンを感じる。静かなところで,のんびりするのに最適。
 


さらに少し歩くと,カムイチャシ史跡公園に着く。チャシとはアイヌの砦のこと。道路脇の階段を上って岬の上に出ると,礼文華の奇岩や噴火湾の眺めが素晴らしい。トンネルの上にあるので通過する列車を見るのもおもしろい。オフシーズンには恐いぐらい静か。天気の良いときに訪れたい。

ここまで来れば次ぎの大岸駅まで歩いたほうが近い。大岸駅まで徒歩20分。途中に大岸第一キャンプ場がある。
 

小幌 北海道駅前観光案内所 大岸