室蘭本線

大岸 おおきし 無人駅
虻田郡豊浦町字大岸
昭和3年9月10日開業
標高7m  108人
複線
長万部より27.7キロ
礼文より4.1キロ
2000.11.4下車

●礼文→大岸の車窓

静狩−礼文は日常的利用はほとんどないが,礼文から先は豊浦,伊達方面に高校生の通学利用が見られる。
礼文を出るとまもなく礼文浜トンネルに入る。1999年11月28日,このトンネルでコンクリート片の落下事故があった。事故の原因は礼文華特有の地質にあり,現在においても礼文華は交通の難所である。
単線時代は海岸沿いを通り,車窓から見える奇岩はさまざまな文学にも描かれたが,今は礼文華の絶景をほとんど見ることなくトンネルで通過する。右に文学碑公園を見ると今度はカムイチャシ史跡公園の下をトンネルで通過。夏はキャンプ客で賑わう大岸の砂浜を見つつ,大岸駅に到着する。

●大岸駅

まだ山間の雰囲気だが,礼文に比べれはずいぶん明るい雰囲気だ。ホームの目の前は漁港で,列車から降り立てば波の音が聞こえる。この駅は夏には旅人で賑わい,大きなリュックを背負った人達が列車から降りる。近くの砂浜に大岸キャンプ場があるが,何かの研修でも行われるのだろうか。駅には北海道の観光地図が張られ,寝台タイプのいすもある。恐らく駅で寝る人もいるのだろう。駅前の店はキャンパーの買い出しに利用されているようだ。

●見どころ

□カムイチャシ史跡公園

駅裏の道路を西へ徒歩20分。トンネルを抜けて道路脇の階段を上って岬の上に出ると,礼文華の奇岩や噴火湾の眺めが素晴らしい。トンネルの上にあるので通過する列車を見るのもおもしろい。オフシーズンには恐いぐらい静か。天気の良いときに訪れたい。

□文学碑公園

カムイチャシ史跡公園からさらに西へ徒歩5分。昭和62年に造成された北海道初の文学碑公園で,室蘭本線の旧線にあたる長輪線をテーマとしている。歌碑が建てられている斉藤茂吉や与謝野鉄寛・晶子の作品はみな長輪線の列車の車窓を描いたものである。ロマンチック海岸と呼ばれるこの辺りは,人の気配は薄いがなぜかロマンを感じる。静かなところで,のんびりするのに最適。


 

□礼文華海岸

文学碑公園から先は,徐々に道が険しくなり海岸には奇岩が連なる。岩手県宮古の浄土ヶ浜に少し似ているが,浄土ヶ浜が天国の風景だとすれば,礼文華は地獄に見える。この道路は国道37号の旧道にあたり,写真右手の荒れた路盤が室蘭本線の旧線跡である。少し怖いが,辛抱して前へ進めば,礼文駅のある礼文華の集落に出ることができる。

  

□トンネルの安全を誓う碑

険しい礼文華海岸を通り抜けると,右手に礼文浜トンネルの入口がある。1999年11月28日,トンネル内でコンクリート片の落下し,6日間にわたって線路が不通になるという事故があった。その2000年5月,そのトンネル脇に「トンネルの安全を誓う碑」が建立された。

 

ここまで来れば礼文駅までは徒歩10分ほど。大岸駅から礼文駅までまっすぐ歩けば1時間もかからないが,時間があればぜひともゆっくりしたいところだ。
 

礼文 北海道駅前観光案内所 豊浦