根室本線
下金山
- 所在地:空知郡南富良野町字下金山
- 開業日:1913(大正2)年10月1日開業
- 標高:252m
- 配線:単線
- 路程:滝川より74.7キロ,山部より8.0キロ
- 窓口: 無人駅
- 乗降客数:5人(2013-2017年),92人(1983年)
- 最終乗降日:2019.2.9下車
●山部→下金山の車窓
一帯は旧北海道大学第8農場である。北大の前身である札幌農学校は,1901(明治34)年富良野市の空知川左岸一体を第8農場として設定し小作人を募集した。資金のない移住者たちはまず小作農として入植し,自ら土地を開墾して一定期間小作料を納めると農地の譲渡を受けられるとされていた。戦後GHQの意向により1946(昭和21)年から1950(同25)年にかけて全国で農地改革が実施され,北大農場も希望者に未墾地価格で売り渡された。しかし,価格が不当であったことと,開墾小作の場合土地に対する租税もかからず,小作料は固定資産税よりも安く営農に支障がなかったことから,依然として小作に留まる農家が多かった。このため1959(昭和34)年,北大は小作料を一挙に10倍に引き上げる措置を発表。これに対し富良野では1961(昭和36)年に解放期成会を結成,栗山,札幌,簾舞,幌加内,中川,幌延,音威子府の残存小作地を巻き込んで解放運動を展開した結果,1963(昭和38)年全農地が解放された。ここに日本の小作制の完全な終焉を迎えたのである。
小作料は大学の資金源であったため,農民は苦労を強いられる面もあったが,大学農場ゆえの先進的気風も生まれ,タマネギやメロンの産地化,さらにはドラマ「北の国から」を生む土壌がつくられたものと思う。
山部から車窓左手に1963(昭和38)年まで国道に指定されていた道がしばらく寄り添い,線路が左に90度向きを変えるといよいよ富良野盆地を離れ,山あいに入る。左手に木の間から見下ろす空知川が素晴らしい。国道38号と分かれた国道237号が左手に見えてくると沿ってくると,まもなく下金山駅に着く。
●下金山駅
駅舎の形は平岸や島ノ下と似ているが少し異なる。現在単線駅となったが,かつては大きな駅だったようで広い構内に島式ホームと貨物用のホームが残っている。駅の開設以降,東大演習林の拠点である,東山,西達布への森林鉄道が敷設され,原木や農産物の集積地として市街地が形成された。
過疎化が進む南富良野町の中にあって,農業と基盤とする集落が維持されており,2016年には金山小学校と下金山小学校を統廃合した南富良野西小学校が下金山に開校している。
下金山から幾寅方面は南富良野町営バス,富良野,占冠方面は占冠村営バスの利用が可能である。
●見どころ
東栄吊り橋
駅前から国道を南に100メートル。左手の小道に入ってすぐ。空知川の対岸に渡るため住民に利用されている。