2020.7.26全面改訂(2000.10.5新規作成)
根室本線 その2
[新得→浦幌]
根室本線その2は帯広を中心とした十勝の大地を行く。農業や食品製造業など基幹産業がしっかりした市町が連なり,観光的には地味な印象もあるが,それだけに食糧基地としての北海道の姿を目の当たりにすることができる。かつては四方八方に延びていた鉄道も,いまは根室本線1本となったので,バスも利用しながら途中下車の旅を楽しみたい。
根室本線[新得→浦幌]の概要
●歴史
釧路方面から北海道官設鉄道釧路線として建設が進められ,1905(明治38)年には帯広まで達した。いっぽう旭川から建設が進められていた十勝線は1901(明治34)年に落合まで延びており,1907(明治40)年9月8日に落合~帯広間が開通して旭川~釧路間が全通した。根室本線は十勝・釧路・根室方面のみならず,1932(昭和7)年の石北線開通まで池田からの網走本線(のちの池北線)経由で北見方面への開拓前線ともなり,北海道の東西を結ぶ幹線としての役割を果たしてきた。
1975(昭和50)年の時刻表を見ると,本区間を発着していた優等列車として「狩勝(札幌・旭川~帯広ほか)」「ぬさまい(帯広~釧路)」 「池北(帯広~北見)」「大平原(帯広~広尾)」の名が見える。
1987(昭和62)年に広尾線,士幌線が廃止,池北線は1989年に第3セクターの北海道ちほく高原鉄道に転換されたあと2006年に廃線となり,支線を持たない本線となった。それでも冬の交通に不安のある北海道では峠越え区間の鉄道に対する期待は大きく,1997年3月には高速化工事が完了し,283系特急スーパーおおぞらが時速130km運転を開始した。しかし相次ぐ事故を受け,2014年8月のダイヤ改正で全列車最高速度が時速120kmに引き下げされた。
●車窓
かつては稲作も行われていたが現在は皆無に近く,車窓はおおむね牧草地か,ビート,ジャガイモ,小豆,小麦,デントコーンなどの畑である。1戸当たりの耕地面積は30ha超(約600m四方)で,市街地以外は人家もまばらである。ときおり,巨大な製糖工場や食品製造工場が車窓に見える。
新得から芽室までは起伏のある台地を走り,すっきりとした眺望は得られない。芽室からは広々とした十勝らしい景色となり,西には日高から大雪まで連なる山並みを望むことができる。帯広駅の前後は1996年に高架化され,近代的な帯広の市街や十勝の大平原を見渡す。
池田から茫漠とした十勝川の氾濫原を走り,新吉野で北へと向きを変えて浦幌に到着する。 車窓は浦幌に向かっておおむね右側が良い。
●運行系統・車両
特急は札幌~帯広間に「とかち」が5往復,「おおぞら」が6往復している。2020年3月のダイヤ改正で列車名から「スーパー」が削除された。車両は揺れが激しかったキハ283系からキハ261系への置き換えが進んである。車両によっては窓の汚れがひどいため,車窓を楽しむなら普通列車を利用するのが確実である。
普通列車は基本的にキハ40形使用している。旭川直通の快速狩勝1往復とその間合い運用にキハ150形0番台が充当されていたが,2016年の大雨で東鹿越~新得間が不通となってからは本区間に入線していない。普通列車はワンマン運転である。勾配や曲線の少ない区間であり,普通列車も車両性能上の制限速度いっぱいで走行するが,列車の交換や待避で長時間停車することが多い。
かつては,帯広~池田間でふるさと銀河線直通列車が設定されており,キハ40にふるさと銀河線専用車両を後結して運行されていた。
●利用状況
新得~帯広~浦幌は,帯広への通勤通学圏で,利用者は道内のローカル線としては多いほう。特に芽室~帯広~幕別は,帯広のベットタウンを連ねていて,都市近郊路線の雰囲気となる。青春18きっぷの利用可能期間には石勝線特急,滝川方面,釧路方面との接続が良い普通列車を中心に旅行者で賑わうが,席に座れないほど混み合うということは少ない。
特急列車は指定席の利用が主で,指定席が満席にならない限り自由席にもゆとりがあることが多いが,指定席が混み出すと,自由席も席が埋まり,最悪帯広から札幌まで席にありつけないこともある。特に冬季には札幌~トマム間は自由席が混むので注意。
それでは,根室本線その2各駅停車の旅をお楽しみください