宗谷本線
塩狩
- 所在地:上川郡和寒町塩狩
- 開業日:1924(大正13)年11月25日開業
- 標高:256m
- 配線:2面2線(対向式)
- 路程:旭川より28.4キロ, 蘭留より5.6キロ
- 窓口:無人駅
- 乗降客数:0人(2013-2017年),26人(1983年)
- 最終乗降日:2006.5.21下車
●蘭留→塩狩の車窓
いよいよ石狩,天塩国境・塩狩峠越えである。石狩川と天塩川(河川延長は全国3位と4位)の分水嶺の中でもっとも標高が低くなっている場所で,アイヌの時代以前からの峠道だ。
蘭留を出るとまもなく高速道路が頭上を横切り,どこかへ消えていく。国道40号の塩狩峠も改良に改良を重ね,今では峠であることを感じさせないくらい滑らかに越えていく。その中で鉄道だけが幽玄な峠路の雰囲気を残している。
線路は高いところを走り,左に見下ろす谷間に水田が続く。やがて両側を針葉樹の防雪林に囲まれ,右へ左へと屈曲し,20‰の連続勾配をよじ登っていく。途中,道内最急曲線の半径195mカーブがあり,新型車両もさすがに速度が落ちる。特に眺めは良くないが,線路脇の木は切り払われて開放感がある。峠を登りきったところが塩狩駅だ。

●塩狩駅
1916(大正5)年に信号場として設置,1922(大正11)年に駅に昇格した。駅舎は開駅当時の建物を使用しているという。利用者の少ない駅だが訪れる旅人は多く,待合室はきれいに掃除されている。
塩狩峠は,1966(昭和41)年に発表された三浦綾子の小説『塩狩峠』で有名になった。1909(明治42)年2月,峠を走行する列車の連結器が外れ,レール上に身を投じて殉職した若き国鉄職員の話である。1969(昭和44)年,国鉄職員や教会関係者の寄付で遺徳顕彰碑が建立され,1974(昭和49)年にはユースホステルを併設する塩狩温泉観光ホテルが設立された。
駅周辺は一目千本桜といわれる桜の名所で,月の美しさでも知られる。1999年には三浦綾子の旧宅を復元した塩狩峠記念館が駅裏に建設され,立ち寄りの観光客で賑わっている。塩狩駅も利用者減少により,2021年度より自治体による維持管理に移行することとなった。


●見どころ
□塩狩峠記念館
駅からすぐ。1999年5月開館。三浦綾子さんが1961(昭和36)年から10年間暮らした住宅を移転復元したもの。冬季休館。
□一目千本桜
駅の向かい側。
□夫婦岩
駅から夫婦岩を周遊する約9kmがフットパス「塩狩峠の道」になっている。列車を利用した散策イベントが開催されることもある。