5. 鬼峠座談会
15時45分にいったん解散した後,それぞれ湯の沢温泉に行ったり料理の仕込みをしたりして過ごした。
懇親会は初めて村のコミュニティプラザで行われた。双民館は冬季閉鎖中,湯の沢温泉は4月からのリニューアル工事に向けて準備中という事情によるものである。
18時20分,細谷さんの乾杯で鬼峠座談会&交流会が始まった。
参加者の持ち寄り料理はすごい数。
かりうどエゾ鹿レバーとほべつのニラでレバニラ炒め | かりうどえぞ鹿ロースのロースト | かりうどえぞ鹿生ハム・山わさびで |
かりうどのソーセージ・ふつうのセロリとふつうのキャベツ | かりうどエゾ鹿100%の巨大ハンバーグ | かりうどエゾ鹿心臓のソテー |
かりうどエゾ鹿フィレのユックソテー | コーンドエゾ鹿とフライドキタアカリ・男爵 | マルシェひまわりのおにぎり(エゾ鹿ほか) |
まずは鹿肉料理の数々。
今日の鹿を射止めた,森のかりうどこと,高橋勝美さん。この4月にはいよいよ村営有害獣処理加工施設「ジビエ工房森の恵み」がオープンし,その管理人として本格的に鹿肉の販売に関わっていかれることが決まっている。
激流赤岩ロール | 占冠ぎょうじゃニンニクのラスク | 畑にすてられていた大根のしょうゆ漬け |
観音家に伝わる秘伝の大豆味噌 | 江頭さんちのおでん卵 | 占冠よもぎギョウザ・村のしいたけあんかけ |
占冠の食材を使った料理。
南富岩永さんのじゃがいもサラダ・自家製バジルビネグレット風 | 十勝大豆のしょうゆ豆 | 富良野幕田さんのじゃがいもサラダと酢卵 |
美瑛産ゆり根の卵とじ | 釧路の手塚豆腐に金沢さんの三升漬 | 西村さんがえりもで漬けたいずし |
道内各地のこだわりの食材で作った料理。中でも,いずしは本格的で非常に洗練された味だった。
ふわふわいももちとパリパリかぼちゃだんごの割れトマトソースがけ | 宮崎県のおすし・ツナずし | 村のニンニクを使った鶏カラアゲ |
実家熊本でとれた高菜漬 | 熊本干し大根のカリカリ漬け | 今里まいちゃん手作りバナナケーキ |
その他,出身地ゆかり料理なども。料理の命名は山本さんによる。
以上,27品。こんなご馳走に囲まれて,何か夢の中にいるようである。
今日は別に郷土料理の博覧会ではない。案内のメールの最後に「みなさんからの1品持ち寄りをお願いします(できれば占冠の昔からある料理・地元素材を使ったもの)」とあっただけである。
山本さんは次のようにおっしゃる。
「すごいシンプルでいて,ものすごく深い。それぞれ一人一人が感じ方も違うし,思っていることも違う。こうやって宴会をやると,何も言っていないのにこんなに料理が並んでしまうというのは,まさしく鬼峠の深さ。ニニウありき,鬼峠ありきでできることで,新たに作ろうと思ってできることではない」
最近,地域の宝という言葉を聞くが,鬼峠やニニウというのはまさに地域の宝であろう。それは観光資源とはまた違う。今回のフォーラムは6回目にして初めてメディアの取材がなかったが,図らずも,やっていることがほかの地域の人たちに知られなかったり,誰かから認められなかったりしても,これで十分なのだということに改めて気づかされる機会となった。
交流会が始まって1時間ほどたってから,一人ずつ自己紹介や今日の感想を話した。
「遠いところからみなさん来て,ニニウを見ていただきまして本当にありがとうございました」と会田さん。自分が住んでいたふるさとを,遠くから来てくれた人に見てもらえるのは率直に嬉しいのだという。そう言っていつも参加してくださることは,私たちにとっても大変嬉しいことである。
誕生日が来たら77歳になるという会田さん。「昔の人はそれでも鬼峠を越えていたんでしょうね」という声に,
「はい。そこしか歩くところなかったですから」
と,いかにもあっさりした答えに,広間からどっと笑いが起こった。
19時過ぎから始まったスピーチは途中2度のトイレ休憩を挟み,1時間半かけてようやく20人の参加者を一巡した。年度末ということもあり,あと何日かで北海道を離れるので思い出に参加したという方が複数いたのが印象的だった。
飲み物もいろいろ。
その中でも注目を集めていたのが,温州みかんのストレートジュース。こんなにおいしい飲み物は初めてだと,参加者から感激の声が上がっていた。
1次会も押し迫った頃合いに,メインの鹿汁が配られた。
21時20分,会田さんの1本締めにより1次会終了。
その後,机を寄せて2次会は続き,床に入ったのは2時10分であった。
翌朝8時起床。朝食は残り物で十分だった。
最後に残ったものも,全部ラップに包んで,それぞれ持ち帰った。