4. 鬼峠交流会
16時08分,少し早めに湯の沢温泉に着いた。
湯の沢温泉は,昨年の9月29日にリニューアルオープンした。
玄関には,スノーシューがたくさん並んでいた。指定管理者として深川市に本社を置くスポートピアが運営を行っている。スポートピアは,自然体験事業などを行っている会社で,従来の温泉施設の概念にとらわれない様々な展開が期待されている。
ロビーには新たに囲炉裏が作られていた。
しばし,温泉に入るなどしてゆっくりした後,18時55分から交流会が始まった。
まずは,乾杯。
今年も料理はすごい。
まずは,参加者持ち寄りの一品料理から。
鳥肉のうま煮 | ギョウジャニンニクするめこんぶ | 手作りフルーツケーキと道産小麦のパン |
南プ岩永さんのメークインとうちの卵のポテトサラダ(中国黒酢とゆずこしょうで) | カリフリ農場のゆで卵 | カリフリ農場の越冬じゃがいもサヤアカネのポテトサラダ |
三笠産○○ジャムと直売カフェMuuのパン | うど(トマム)の味噌漬け | カリフリ農場の卵プリン |
ぎょうじゃにんにくしょうゆづけ | 斜里で陽さんがつった鮭のルイベ山わさびで | 冬を2回越したインカのめざめ |
恒例の鹿肉料理。今年は生ハムが絶賛されていた。
鹿肉のたたき | 鹿の生ハム | 鹿肉ぎょうざ |
交流会には鹿を獲った高橋さんも参加された。「鹿は基本的においしいものです」とのこと。
鹿まん(かりうどまん) | 中身はジューシーな鹿肉 | 鹿まんの巨大バージョン |
鹿まんを開発された高橋さん。うま過ぎて怖いねという声も。肉まんが苦手な私も,これは食べられた。
湯の沢温泉も,腕利きの料理長を迎えられて,料理が一段と素晴らしくなった。
和風シチュー | 長いもの磯部揚げ | 鹿のチンジャオロース |
20時半を過ぎ,昼間は峠越えの隊長だった細谷さんが,支配人の装いに変わられて,ようやく交流会に参加された。
自己紹介の中で,今日の金山峠越えの感想も何名かから聞いた。最年長の会田さんをはじめとして,みな歩いて越えたのは初めてだったそうだが,実際に歩いてみて考えるところはいろいろあったようである。
ニシンの話も,あらためて聞いた。商店を営んでいた祖母から聞いた話として,朝7時に金山に着く汽車に間に合わせるため,夜の11時に馬車で出かけたという話も聞いた。春を告げるように大量に運ばれてきたニシンは,本当に占冠の風物詩だったようである。また,そのニシンは,カラスに持って行かれることもあったし,荷馬車から溢れたニシンを熊が持っていくこともあったのではないかという。人間だけではなく,動物たちもまたその恩恵にあずかったのである。そういう時代は豊かだったのか,貧しかったのか。
そして,あのころニシンが山の中に来たように,もう一度,占冠にサクラマスがたくさん上って来る時代が来てほしいと,村の人たちは語っていた。毎年のように鬼峠フォーラムに参加され,このたびついに占冠への定住を決めたY氏は,占冠の川をサクラマスで真っ黒にすることを自分の公約にしたいと誓っていた。
夜も更け,動物はどこまでが家畜で,どこまでが愛玩動物か,ひいてはカニバリズムというところまで話が進んだ。これが,都会ではなく,狩猟の世界に生きている人たちであるから,話は深い。しかし,そうは言ってもというところがあり,ニワトリは卵だけを頂戴して死ぬまで飼うことにしているのは,この世の中に幸せなニワトリがどれだけいるのかというニワトリ全体に対してのせめてもの償いだという意見もあったし,会田さんも家畜はいろいろいたが,大人になるまで匂いが嫌で肉を食べられず苦労したと語っていた。
23時をまわり,明日超える鬼峠は新か旧かという,峠越えの意味を問う核心へと,話は進んだ。