北海観光節小さな旅行記「北の国からと石勝線30周年」

「北の国から」と石勝線30周年 その3

ドラマでは宴会場などとして使われた小野田旅館。現在はそば屋としての営業のみとなり,経営者も変わったが,建物の外観はそのまま。

麓郷木材工業の本社事務所。ドラマで使われた「中畑木材工業株式会社」の看板が今も残る。

ドラマでも使われることの多かった,十勝岳連峰の山並み。あのあたりの風景は,富良野塾の卒業生にとっても忘れることのできないものだという。

中の沢小学校分校

純,蛍,正吉が通っていた中の沢小学校分校。観光の車が途切れることなく来ていたのは,やはり今日が「北の国から」の放送記念日だからだろうか。

純,蛍,正吉の通学路。

今年6月に発刊された『獨白』は,ファン必読の書である。UFOの話の真相,こごみさんにはかなり多くのかくれファンがついていたことなど,目からうろこの話がたくさん載っている。

最も印象的だったのは,杵次が中の沢の分校で「木谷先生にうかがいたい」と問い詰めるシーン。このシーンには役者にも演出にも誤解があって,杵次が悪者に見えてしまったのだという。私も,それまでの流れからしてどうも腑に落ちないところがあったが,そうだったのかと改めて納得した。

車窓に見えたこの道,何かのシーンに使われたと聞いたが,忘れてしまった。

北村草太の牧場。

くまげら

13時10分,予定よりやや遅れて昼食会場の「くまげら」に到着。富良野市内では最も格の高い料亭というイメージがあって,私は来たことがなかった。

 

メニューは北の国から30周年記念特別メニュー「五郎のカレー物語」。ドラマのエピソードを食材に盛り込んでいるという。「くまげら」は今年創業31年目で,「北の国から」のロケ中に開店したそうである。開店1年目にして,「北の国から」スタッフ常連の店になったそうで,オーナーから様々なエピソードが紹介された。

北の国から資料館

ツアーの出発地点に戻って,ここで改めて北の国から資料館を見学。

資料館向かいの跨線橋。地味な存在だが,「北の国から」をはじめ,富良野市で撮影された映画やドラマの多くに登場している。富良野市のシンボルとして,長く残ってほしい構造物である。

14時50分からは「選べるプラン」として,「富良野自然塾」「ろうそく製作体験」「森の楽団製作体験」「まちなか散策」の中から,事前に選んだプランへの参加となった。

富良野自然塾

私が選んだのは「富良野自然塾」。閉鎖された富良野プリンスホテルのゴルフ場跡地に2006年開設された。倉本聰氏を塾長として,環境教育プログラムが実施されている。

一度,参加してみたほうが良いといわれていたが,いままで機会がなく,今日が初めての参加である。

プリンスホテルから歩いていく。

まずは石の地球。地球を1メートルに縮小したもので,大気の層がいかに薄く,微妙なバランスの上に成り立っているかを学ぶ。

ここでは,森林や水の貴重さを学ぶ。

46億年地球の道。46億年の地球の歴史を,460メートルの距離に置き換えて歩く。したがって1メートルは1000万年に相当する。

ややしばらく歩いて,ようやくここで陸上に生物が進出した。現在はもうすぐそこに見えている。

そして現在。1メートルが1000万年なら,1ミリメートルが1万年。100年は,0.01ミリメートル,フィルム1枚ほどの厚さだ。いままで歩いてきた46億年の悠久の道のりを思うと,人間が科学技術によって繁栄した歴史など,目に見えないほど一瞬のことだ。これはもう,人類がこのまま繁栄を続けることなどありえないことだと思った。

本来の環境教育プログラムは3時間の設定で,この後植樹体験などが行われるようだが,今日はプログラムを約1時間半に凝縮してこれにて終了。自然塾で見せているのは,知識としては中学校の理科レベルだが,時間的,空間的に等縮尺で見せられるというのが,至極単純なようで実は今までにない体験だった。特に,人類の文明の歴史が,これほど短いものであるというのは衝撃的だったが,それではこれから私たちはどうすればいいのだろうか。環境教育プログラムというが,結局は人々を絶望の底に陥れているだけという気がしないでもなかった。

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