北海観光節小さな旅行記天塩・紋別冬のイベント巡り

天塩・紋別冬のイベント巡り その5

9時50分,宿を発つ。名寄本線の線路跡に敷かれた道路に沿って公共施設が並ぶ。写真の交差点付近が西興部駅のあった場所である。

西興部の地に足を付けたのは,1987年家族で森林公園に遊びに来て以来29年ぶりで,街は様変わりしているのもやむを得ない。

保育所 ケアハウスと診療所 公営住宅
温水プール 猟区管理協会 バス待合所
給食センター 小学校 マルチメディア館IT夢(あとむ)

西興部村では「美しい村づくり条例」により,公共施設を中心として,建物が太陽と森をイメージした色に統一されている。

昨夜から西興部に滞在して感じたのは,日本にありながら人も土地もまったく別世界だということである。美輪さんの言葉を借りるなら,戦後ひたすらヤンキー化の道をたどってきた日本にあって,ごくわずかにヤンキー化を逃れた地域があり,それが西興部村や,山一つ越えた童話村こと滝上町であるように思う。したがって,旭川から訪れた私などから見れば,村そのものが非日常的空間である。逆に言えば,昨日訪ねた美深や名寄は,あくまでも日常の延長である。

国道の商店街。

食堂 書店 食料品店(薬あり)
 
呉服店 介護の店  

日曜日なので閉まっている店が多いのは仕方がないが,呉服店などが営業してるのは村の規模を考えると驚異的である。

森の美術館木夢。10時の開館を待って入館した。

思っていたよりもずっと大きな施設だった。

 

まずは「こけし」の展示を見る。実は今回の旅行は,この展示を見に来ようと思ったのがきっかけだった。東北地方のこけし120体が,系統別に展示されており,大変貴重なものである。「全国小さくても輝く自治体フォーラム」が縁で,寄贈を受けたものだという。

入口ロビーに展示されていた土雛(つちびな)も,こういうものがあるのかと初めて知ったが,これも同様に昨年37組が寄贈されたそうだ。

 

10時30分からトイシアターで「木夢の島」が始まった。観客は1人だけ。

はじめに係員の説明があり,電蓄から流れてくるような味わいのある音楽とお話に合わせて,機械仕掛けの木製模型による小劇が始まった。

照明なども含めて大変に手の込んだものだが,内容の更新はどのくらいの頻度で行っているのだろうか。ずっと変えていないのだとしたら,立派な舞台装置がもったいないし,精神的にも健全でないと思った。

充実した売店。

木の遊園地。

パズルとつみ木のおへや。

 

11時となり,館内のあちらこちらでからくり時計が動き始めた。

 

館内にはまだ奥があったので驚いた。ここはサンタワールド。よく言えば一年中クリスマスが味わえる空間だが,さすがにずっと同じ内容では子供たちも興味をそがれるのではないか。

 

日本一の木の砂場。館内は床暖房や温水放熱器で温かく暖房されていた。

森夢の大浴場も沸かし湯だし,通年利用な村営温水プールもある。燃料代だけでも相当かかっているはずだ。人口1100人余りの村で,これらの施設を維持していくのは大変だろうと思う。

しかし驚いたのは,西興部村は人口が減っていないことである。5年で1割人口が減るのがあたりまえの道内町村部にあって,西興部村は,2015年の国勢調査人口が,2010年調査比で1.5%の減にとどまっている。これはこうした施設整備や,村営テレビ放送などの情報基盤整備が功を奏した結果であるのか,興味深いところである。

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