北海観光節>小さな旅行記>石狩,胆振,日高,国境を巡るバス旅
ちょうど開通の30分程前に
国鉄富内線が大正12年(1923年)に富内まで延伸する以前は,千栄は根室本線金山駅の駅勢圏に含まれていた地区で,今日辿っている占冠から双珠別,日高を経て千栄に向かうルートは,明治以来の伝統あるルートである。
10分ほどで千栄市街に着いた。もとは千呂露(チロロ)といって,大正以来クローム,マンガン,石綿などの鉱山で栄えた地区である。
正面にかかっていた千呂露は大雨で落橋。この奥にまだ人家があることから,9月13日には早くも仮橋が供用を開始している。
バスは通常さらに奥まで運行するようだが,開通待ちの車列に突き当たり,カラ沢入口の手前付近で降ろしてもらった。
開通45分前の12時15分時点で,並んでいる車は10台ほど。
通行止めゲートの先では,除雪車の出陣式が行われていた。報道関係者を名乗れば見学できたようだが,一般市民はゲート前で待つ。
昨年8月の大雨では,日勝峠において8月28日の降りはじめから2日半で,史上最大の連続雨量488mmを記録した。国道274号は43kmに渡って,落橋,覆道損壊,斜面崩壊など,66か所に及ぶ甚大な被害を受けた。当初は災害現場に到達するのも困難であり,開通に5年や10年はかかる,あるいはもう復旧はしないのではないかという見方もあった。しかし,ドローン(小型無人機)による調査や,自動制御の建設機械も投入し,全力を上げた復旧により,1年2か月,200億円以上の費用を投じて再開通を見た。
除雪出陣式が終わり,通行止めのゲートが元に戻された。関係者も感慨深そうに写真を撮っている。
新聞,テレビも各社が駆け付け,開通を待つ人の声を聴いて歩いている。
開通を前にゲートに整列。
あと,1分で開通。緊張感に包まれる。非常点滅表示灯をつけた車が,列を追い越してやった来たので,だれかと思うと,今週3選を果たしたばかりの堀井代議士であった。
13時ちょうど,格調高く開通の号令が発せられるとともに,ゲートが開けられた。
北海道開発局の道路パトロールカーを先頭に,北海道警察の車両が先導し,一般車両の通行が始まった。
開発局職員,請負事業者など,大勢の関係者が開通を待ちわびた車を見送る。
車は切れることなくやってくる。
10分ほどしてようやく,車の列が途切れ,関係者は解散していた。