「汽車時間表 大正14年4月号」(日本旅行文化協會,1978年復刻版)
大正10年10月5日,名寄から興部,紋別,遠軽経由で野付牛と結ぶ名寄本線が全通した。函館から名寄本線経由で野付牛に直通する列車も登場し,網走本線の独擅場とはならなくなったが,網走本線がまだ名実ともに本線であった時代である。大正9年に川上駅,同11年には境野駅が新たに設置されている。
網走本線の開通は,まず森林資源の開発に大きく寄与することとなったが,大正10年には置戸森林鉄道,同12年陸別森林鉄道,足寄森林鉄道,同13年斗満森林鉄道が国有林内に敷設され,網走本線の各駅は木材の集積地として大変な活況を呈した。
なおこの時刻表は,現在も発行されているJTB時刻表の創刊号にあたる。横長の大判,226ページに及ぶボリュームで,現在の時刻表と比べてもまったく遜色のない体裁である。
上野〜陸別 所要 44時間44分 | ||
上野13:00発 青森6:30着 |
東北本線急行203列車 | 名寄本線開通により,函館から名寄本線経由で野付牛に向かう直通列車が登場している。 函館方面から野付牛までの所要時間を比較すると,連絡汽船3便利用の場合は網走本線経由が早いが,連絡汽船1便利用の場合は,稚内行きの急行第1列車から名寄本線に乗り継いだほうが野付牛到着時刻が早まる。 |
青森7:55発 函館桟橋12:25着 |
連絡汽船3便 | |
函館桟橋13:13発 池田7:16着 |
急行3列車根室行き | |
池田7:25発 淕別(9:44)着 |
603列車網走行き |
(4)石北線全通へ