根室本線
茂尻
- 所在地:赤平市字茂尻元町南2丁目
- 開業日:1918(大正7)年12月28日開業
- 標高:71m
- 配線:1面2線(島式)
- 路程:滝川より17.2キロ,赤平より3.5キロ
- 窓口:無人駅
- 乗降客数:40人(2014-2018年),116人(1983年)
- 最終乗降日:2012.8.20乗車
●赤平→茂尻の車窓
赤平駅の見どころで紹介したズリ山階段や立坑は気をつけていれば車窓右手に見える。ただ滝川~富良野間で車窓右手に見えるものといったらこれぐらいで,おおかたの見どころは左側に集中している。席はなるべく左側に座っていたほうが良いだろう。途中,歌志内方面からの道道114号赤平奈井江線を立体交差で渡る。これが明治以来の旧街道である。
空知川流域の石炭は1874(明治7)年にライマンにより調査されている。既に1882(明治15)年には小樽港と幌内炭山を結ぶ官設の幌内鉄道が開通していたが,歌志内の炭鉱開発はそれより少し遅れ,北海道炭鉱鉄道株式会社により1891(明治24)年7月歌志内まで鉄道が敷設された。この鉄道は開拓者たちにも利用され,平岸(赤平),芦別,富良野方面へは小樽港から石炭の貨車に揺られて歌志内まで来て,ひと山越えて空知川筋に達した。
その頃の旅路を描いた紀行に国木田独歩「空知川の岸辺」(1902)があり,ちょうど赤平奈井江線が空知川に突き当たったところに小公園の独歩苑が整備されている。
●茂尻駅
駅名は「もしり」と濁らないが,地元では「もじり」と言う。バス停も「もじり」である。
茂尻は赤平で最も早く炭鉱が拓けたところで,1918(大正7)年に大倉鉱業茂尻鉱が開鉱し,同時に茂尻駅が貨物駅として新設されている。以後1937(昭和12)年ころまでは赤平で最も賑わうなど隆盛を極めるが,同44年に閉山し人口が流出した。駅構内に若干の敷地が確認できるが,閉山年が古いため,石炭の積み出し駅として賑わった当時の雰囲気は想像し難い。
国道から見ると小高い丘の上にあって,駅から階段を降りたところに広い駅前広場がある。駅舎も駅前広場もひどく閑散としているが,駅前から国道までの間に,かつての賑わいを偲ばせる商店街が幾筋か残っている。このあたりももともと路線バスが主役で,鉄道の利用者はあまり多くなかったようである。
●見どころ
□独歩苑
駅を出て左手徒歩10分。歌志内への分岐の交差点,国道沿い。「空知川の岸辺」を著した国木田独歩が1895(明治28)年に来訪した地で,空知川を眺望できる。1956(昭和31)年建立の国木田独歩曾遊地の碑がある。
□赤平オーキッド
駅から空知川を渡って信号左,徒歩15分。もとの赤平花卉園芸振興公社。胡蝶蘭の直売。