根室本線
東鹿越
- 所在地:空知郡南富良野町東鹿越
- 開業日:1946(昭和21)年3月1日開業
- 標高:351m
- 配線:1面2線(島式)
- 路程:滝川より94.8キロ,金山より13.2キロ
- 窓口: 無人駅
- 乗降客数:43人(2013-2017年),94人(1983年)
- 最終乗降日:2019.7.28下車
●金山→東鹿越の車窓
金山駅を出た列車は空知川に沿って90度向きを変え東に進む。かつて金山駅から分岐し,鵡川に沿って太平洋岸に出る金山線の計画があったが,金山~富内間が石勝線として一部実現したほかは着工に至っていない。
トンネルを一つ抜け空知川を渡ると,1966(昭和41)年9月29日に金山ダム建設により新線に切り替えられた区間に入る。右手奥にダムの堤体が見える。白蛇のようなシェルターは道道の雪崩覆いだ。
かつての難所,天狗の鼻はダム湖の底。延長2,256mの空知トンネルを過ぎると,列車はかなやま湖の上を走っている。湖を渡り切ったところに鹿越信号場跡がある。新線への切替時に設置され,1982(昭和57)年まで信号場として使われた後,1986(昭和61)年まで仮乗降場として残った。なお,旧線の鹿越駅はもう少し先の湖底にあり,十勝線が落合まで延長されるまでの間終点となったことから市街地が形成された。
かなやま湖は夏はカヌー,冬は氷上ワカサギ釣りで賑わっている。左に湖面を眺めつつしばらく走り,ダム湖にかかる鹿越大橋が車窓を過ぎていく。1967(昭和42)年,金山ダムの貯水が始まったとき,全道に散った水没地の住民(268戸)のほとんどが鹿越大橋の上に集まり,住みなれた土地に最後の別れを告げた。
金山-東鹿越の駅間距離は13.2kmだが,新線建設によるキロ改定はなされておらず,実際には2.2kmほど短くなっている。
●東鹿越駅
駅裏に石灰岩の鉱山があり,明治時代から採掘が行われていた。昭和に入り,室蘭の製鉄所の石灰岩の需要が増加し日本有数の石灰石鉱山となった。当初は鹿越駅から積み出していたが,1941(昭和16)年に東鹿越信号場が置かれ,鉱山までの専用線が敷かれた。1946(昭和21)年に旅客も扱う停車場となった。
石灰は製鉄のほか,製紙,製糖,肥料用の需要があり,ホクレン中斜里製糖工場への石灰搬出のため,東鹿越発中斜里行きという貨物列車が運行されていたが1997年3月改正で廃止になった。同時に無人駅となった。
金山側に1kmに戻ったところに小市街が形成され,1999年度まで学校もあったものの,駅の利用者は皆無に近い状況となっていた。島ノ下駅と同時に廃止する意向が伝えられたものの,2016年8月の大雨で,この先の線路が不通となり,列車の発着が可能な設備を持つ当駅が代行バスへの乗換駅となったことから廃駅を免れた。
山間の無人境にある小駅で,駅前がすぐ湖という立地は,代行バスへの乗り換えのため思いがけず駅に降り立った旅行者に鮮烈な印象を与えている。
●見どころ
□かなやま湖
1967(昭和42)年完成の人造湖。入浴,宿泊施設のあるエリアへは,鹿越大橋経由で約4km。駅前から南富良野町営バスも利用できる。