根室本線
幾寅
- 所在地:空知郡南富良野町幾寅
- 開業日:1902(明治35)年12月6日開業
- 標高:320m
- 配線:単線
- 路程:滝川より98.8キロ, 東鹿越より4.0キロ
- 窓口:無人駅
- 乗降客数:137人(2013-2015年),462人(1983年)
- 最終乗降日:2019.2.9乗車
●東鹿越→幾寅の車窓
かなやま湖の縁を走る線路は旧線以来のものである。木に阻まれて湖面はあまり見えないが,5月には農業用水の通水に向け融雪水を満々とたたえ,石灰分を含んだ緑色の湖水は鮮やかである。渇水期には東鹿越のあたりで湖水が尽き,集落跡がそのまま残っているのを見ることもある。金山ダムの建設によって幾寅開拓の創始である伊勢団体をはじめ,270戸もの住民が水没することから,村は大きく揺れた。
幾寅で三の山峠を越えてきた国道38号と再会する。昭和初めの一時期,鉄道と同様空知川沿いの道路が札幌根室間の地方費道に指定されたこともあったが,東山住民の働きかけもあり,国道は現在の西達布川を遡るルートで指定された。
代行バスは湖畔の道路を線路に沿って走り,国設南ふらのスキー場のふもとで踏切を渡って基線に入る。この基線が,かつて西達布から二の山と三の山の間を越え,湖底の伊勢団体を経て幾寅に達していた旧街道である。
●幾寅駅
映画「鉄道員」(1999年,東映)のロケ地となり,昔風の外観に改修された。旧駅務室は展示室となっており,降旗康男監督や,映画に出演した高倉健さん,志村けんさんが亡くなった際には,臨時の記帳所が設けられた。駅前には映画のロケセットがそのまま保存されている。2005年には映画に使用されたぽっぽや号(キハ12-23=キハ40-764)の廃車に伴い,車両の一部が駅の横に展示された。
駅前からは下金山,落合方面への南富良野町営バス,トマム経由占冠行きの占冠村営バスが出ている。
もとは線路の南側に駅舎があり,1933(昭和8)年の火災を機に現在地に移転,以降市街地は空知川沿いの低地へと拡大していった。2016年8月の大雨による洪水では,それらの新しい市街地が甚大な被害を受けたが,駅周辺は被害を免れている。
幾寅は南富良野町の中心市街地で役場や高校がある。かつて町内には,下金山,金山,鹿越,東鹿越,落合と,駅ごとにそれなりに大きな市街地があり,幾寅は一集落に過ぎなかったが,現在幾寅以外は商店も皆無に近い状況となっている。
●見どころ
□鉄道員ロケ地
鉄道員(ぽっぽや)は1999年6月5日封切の高倉健主演の東映制作映画。幾寅駅周辺がおもなロケ地。幾寅駅は幌舞駅として登場し,駅前に「平田理容店」「だるま食堂」「井口商店」のロケセットが残っている。
□南ふらの物産センター(道の駅南ふらの)
国道38号を富良野方面に徒歩10分。旭川~帯広間の都市間バス「ノースライナー号」が乗降とも利用可能(予約制)。